ただのお手軽版じゃない。iPhone 16eには欲しいものが全部入ってる

Image: Florence Ion - Gizmodo US

Apple(アップル)生態系のベストな入口という位置づけに。

待望のiPhone 16e、発売されましたね。(他のiPhone 16よりは)お手ごろなのに、Apple Intelligenceも使えるし、画面サイズもiPhone 16とほぼ同じだし、「廉価版」的位置づけだったiPhone SEとはちょっと趣きが違います

実際の使い心地には、その辺どう反映されてるのでしょうか? 米GizmodoのFlorence Ion記者がレビューしてますので、以下どうぞ!

iPhone 16eを2〜3日使った今、私はこっちの方がiPhone 16 Proよりも好きになっています。Proにお金を落とす意味がなくはないんですが、iPhone 16eは、私が今iPhoneに求める全条件を満たしつつ、Appleっぽいドヤ感がないのが気に入りました。

iPhone 16eは、いわば今のAppleがiPhoneに必要なものを最小限に絞り込んだらこうなるというものです。「e」の意味は未だわからないんですが、たぶん「exactly what you need」(まさに必要なもの)でしょう。AppleファンにとってiPhone 16eは、「子ども(や高齢の親)にiPhone買いたいけど、どの型落ちモデルがいいか…」と悩まずに済ませるための存在です。

iPhone 16eは、iPhone 16や16 Proと同じアーキテクチャなので、何でもできます。それはまだiPhone体験が浅い人や、お手ごろAndroidから乗り換える人にAppleの箱庭を体験してもらい、あわよくば深入りしてもらうための戦略商品なのです。

Apple iPhone 16e

これは何?:エントリー用のiPhone

価格:599ドル(日本価格:9万9800円)〜

好きなところ:ストレージが128GBから、他のiPhone 16ファミリーと同じA18チップ、アクションボタンもある

好きじゃないところ:2倍以上ズームするとカメラ性能があやしい、ミリ波帯非対応、MagSafeアクセサリー使えず

廉価版っぽくないデザインは軽さが良い

Image: Florence Ion - Gizmodo US

第3世代iPhone SEは、最後の「お手ごろ」iPhoneとなりました。それはファンサービスみたいなもので、当時もう廃れつつあったTouch IDも搭載されてました。

最小ストレージは64GBで、暗所撮影も苦手でした。4.7インチの画面は、小さめスマホを渇望していた当時はキュートでしたが、今となっては小さすぎです。Google Pixel AシリーズがiPhone SEを抜き去り、Appleの「お手ごろ」スマホは古いままでした。

iPhone 16eは、そんな自己認識を改めたのです。お手ごろという位置づけではなく「Appleエコシステムの入口」として、Appleが新たなユーザーを招き入れる場になったのです。そこにはAppleの箱庭で楽しむべき必須要素がすべてそろっています。

デザインはiPhone 16から余計なものを削ぎ落とし、軽くしたバージョンです。iPhone 16eがカラフルでなく、白と黒しかないという不満の声もありますが、みんな結局カバーを付けちゃうんですよね。

色は白か黒のiPhone 16eImage: Florence Ion - Gizmodo US

iPhone 16eにはDynamic Islandはありませんが、Face IDは使えて、iPhone 16や16 Proと同じように素早く反応します。6.1インチの画面はSuper Retina XDRですが、ピーク輝度はiPhone 16や 16Pro(2,000ニト)より低い1,200ニトとなります。

充電ポートはUSB-Cになり、ワイヤレス充電はQiに対応してますが、MagSafeは非対応。でも、MagSafeっぽくする方法はあるし、私自身Androidでもずっと問題なく使えているので大丈夫です。

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iPhone 16や16 Proと同じく、アクションボタンも搭載されてます。アクションボタンは、特に誰かのサポートのためにiPhone 16eを買ってあげる人にとって有益なんです。例えば高齢の親御さんのために、画面輝度を下げるとか、孫と話すためのFaceTimeのブックマークを設定するとか、そんなショートカットを作れば、簡単に使ってもらえるはずです。

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個人的にiPhone 16eで気に入ったのは、他のiPhoneより軽いことです。

PlusとかPro Maxより軽いのはもちろんですが、iPhone 16(170g)と比べても、カメラレンズが少ない分ちょっと軽い167gです。AppleはiPhone 16eを2台目スマホとして使う人の存在もわかっていて、私もPixel 9 Proと2台持ちしてたんですが、カバンに入ってるのを忘れそうなほどでした。

カメラも必須機能は入ってる

カメラは2in1で、一眼に。(Image: Florence Ion - Gizmodo US)

他のiPhone 16と違い、iPhone 16eにはカメラセンサーが1つしかありません。でも、それは1つで2役のFusionカメラなので、iPhone 16と同じように2400万画素と4800万画素両方撮れます

iPhone 16eのメインカメラでは、ポートレートモードや被写界深度コントロールのゆとりもあります。ただ、フォーカスのコントロールはありません。超広角カメラも、マクロモードもありません。でも、接写したい場合は、撮りたいものに物理的に近づけばいいんです。

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iPhone 16eは最大4K/60FPSのドルビービジョンに対応していて、記録用に動画を撮るには十分です。フォトグラフスタイルも入っていて、エモい写真も作れます。夜には長時間露光写真も撮れました。基本のカメラの必須機能が全部そろっていて、レンズが固定されていても満足度はかなり高かったです。

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iPhoneならではの機能もしっかり

iPhone 16eは新規ユーザーを取り込むために存在しているので、Appleならではの機能、特に必須のユーティリティとして売り込んできたものが推されています。例えば緊急SOSやロードサイドアシスタンス、衛星を使ったメッセージングなどは、iPhoneが命を救うというアイデアを刷り込んできます。「探す」衝突事故検出といった機能は、お子さんの見守りにはiPhone 16eという打ち出し方にもつながります。

さらにApple Intelligenceはもう1つの目玉で、今iPhone 16eを買った人は、AIに興味がなくても使ってみようかな…となりそうです。iPhoneを初めて使う人がどれくらい使うかはわかりませんが、文字入力経由のSiriなどは一番使いやすいと思います。Image Playgroundの生成機能については、どうかわかりません。iPhone 16eでも他のiPhone 16と同じように素早く動作しますが、やっぱり私が欲しい画像は手に入らないです。

でも、少なくともメールアプリでは、Apple Intelligenceによってメールの選別がしやすくなるし、生成ライティングで気が乗らないメール作成も助けてくれます。とにかくここでもAppleが言いたいのは、iPhone 16eではAIも含めた必須機能が使えるということです。

長ーいバッテリー、十分なパフォーマンス

最近Appleが重視してるのは、サプライチェーンを掌握し、サードパーティに依存しない生産管理を実現することです。iPhone 16eではモデムチップ「C1」も内製化し、自前生産体制が強化されました。

C1モデムの唯一の欠点は、5Gがサブ6GHz帯だけで、ミリ波帯が使えないことです。なので大きなスタジアムとか混み合った場所ではつながりにくくなるはずです。

ただ、そのおかげでバッテリー持ちが安定するというメリットもあります。Appleいわく、「6.1インチiPhoneの中でさえ、最長のバッテリーライフ」だそうです。私はまだ正式なバッテリーテストができていないのですが、5日前に使い始めて以来、ほとんど充電せずに済んでしまっています。

iPhone 16eのもう1つの自家製部分は、プロセッサーです。iPhone 16eも他のiPhone 16ファミリーと同じくA18チップ搭載なんですが、中身はちょっと違います。GPUのコア数が、無印iPhone 16は5コアなのに対し、iPhone 16eは4コアです。

それでも、使っていて遅い感じはしません。GeekbenchでのGPUベンチマークでは、iPhone 16とiPhone 16eの差は2,000ポイントだけでした。

Apple Arcadeの『Hello Kitty Adventure Island』や『Sonic Dream Team』といったゲームは、iPhone 16eでもスムーズに動きます。一般にこの価格帯のスマホでプレイされるのはこういうライトなモバイルゲームですが、一応『バイオハザード4』とか『Roblox』も動かせました。『Roblox』あたりは、初めてスマホを持つ世代のお子さんにもうれしいでしょうね。

買うべき?

Image: Florence Ion - Gizmodo US

私は自分がiPhone 16eを好きになるとも、ましてiPhone 16 Proより気に入るとも予想しませんでした。でも、実際はこの軽さだけでも手にするのがうれしくなります。ソフトウェア的にもiPhone 16eとiPhone 16には違いがなく、なんだか解放感があります。Apple Intelligenceの機能は、iPhone 16eに対しても他のiPhone 16シリーズと同じタイミングでプッシュされる予定です。

iPhone 16eは、遠くにある被写体をうまく撮ったり、本体がカラフルだったりはしないかもしれません。MagSafeアクセサリーもそのままでは使えません。でも、それ以外ではiPhone 16eさえあればAppleのメリットを享受できて、他のAppleアクセサリやサービスも使えます。iPhone 16eとは、Appleへのゲートウェイドラッグなのです。

もちろんAndroidも含めれば、クオリティが同等でもっと安いスマホもあります。iPhone 16eはたぶんこの記事を読んでる人がメインターゲットなのではなく、Appleユーザーが家族用に買うためのものなんです。下取りやセールを使えば、今までiPhoneを使いたくても価格で尻込みしていた人にも入手しやすくなります。

また、iPhone 11以前の端末からアップグレードする人には良い買い物になることでしょう。iPhone 16の128GBモデルより、200ドル(日本では2万5000円)安いですし。

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