「アフリカ最大級スラム街にあるポテト屋さん」で垣間見たソウルフードとしてのポテト【カンバ通信:第389回】
ジャンボ! 今日もポテ活。ここケニアにおいて、新たなポテト屋さんを探すライフワークが途切れることはない。実はケニアはポテト大国なのだ。
今回行ってみたのは、アフリカ最大級のスラム街「キベラスラム」にあるポテト屋さん『ママ ブレッシング フレッシュ フライ(mama blessing fresh fries)』だ。
余談だが、キベラスラム内にある店は、すべてオーナーの名前が付けられている。なのでこの店のママの名前はブレッシングさんということになる。
ママの店はキベラスラムの中でも「サウスB」というエリアにある。そして、店は仮設的に建てられている。それはなぜか?
サウスBは、前々から火災が多発しているからだ。以前あった建物も火災で燃えた。なので、このあたりは仮設住宅ばかり。
そういう事情もあり、私が『ママ ブレッシング フレッシュ フライ』を選んだのは、道路沿いにあったから。またしても問題。それはなぜか?
火事が起きたら逃げられるからだ。
もしもキベラスラム(のサウスB)内の入り組んだ奥深くにあるポテト屋さんにいる時に火災が起きたら逃げられない。生き残るための「道路沿い」なわけだ。
なので、もし、無いとは思うけど、皆さんがキベラスラムのサウスBのような「火災が多いエリア」に行く時は、まず “逃げること” を頭に入れておいた方が良いと思う。
それはさておき、注文したのは、もちろんポテト。価格は量によって、30kes(ケニアシリング / 約34円)、50kes(約58円)、100kes(約116円)があると言うので、真ん中の50kesをオーダー。
ママは、ホットコーナーに入っていた冷めたポテトを、私のために温め直して(揚げ直して)くれた。
やがてアッツアツのポテトがやってきた。手で持てないくらい熱い。この店にテーブルは無いので、ベンチの横にポテトを置いた。
そして食べた。
が、
あんまりウマくなかった。
でも腐ってるとか、臭いとか、そういうことではないので、ゆっくりゆっくり、スローな時間を楽しむようにポテトをスローに食べ進めた。
日本のGO(羽鳥)から、「ポテト取材をする時は、できるだけ店主と会話して情報を聞き出してくれ」と言われているので、ママに話しかけつつ。
「1人でやってるのかい?」
「基本は1人だけど、たまに食器や皿を洗うだけの人を雇うときもあるね。でも、そこまでの繁盛店じゃないから、1日200kes(232円)の給料しか支払えない」
「1日働いて200kesはキツいな」
「でしょ。なので、バイトの子には、200kes以外に、ウチのポテトを食べ放題ってことにしてるんだ」
そんな会話をしている最中、別のお客さんが来店。仮にポテト兄貴と呼ぶことにするが、彼がオーダーしたのもやはりポテト。慣れた様子でポテトを食べ始めた。
──とかやってたら、チラリ、チラリと親子が寄ってきて、「子供たちに食べさせるためのポテトを、少しだけ援助してください」と我々にお願いしてきた。
気持ち的には彼らに1皿買ってあげたいけど、私の財布にも50kes(約58円)しか入っていなかったので、私のポテトの半分を彼らにあげることにした。
一方、もう1人の客であるポテト兄貴は、ポテト援助の声がかかるたびに、少しずつ、少しずつ、子供たちに分け与えていた。
もしかしたらポテト兄貴もまた、この子供達のように、遠い昔、心優しい人たちからポテトを分け与えられて育ったのかもしれない。
スラム街におけるポテトは、真の意味で命を繋ぐ、ライフフード的なソウルフードなのかもしれない。クワヘリ。
執筆:チャオス(カンバ族) 超訳:GO羽鳥 Photo:RocketNews24.
▼火災の多いスラム街のレストランに入る時は、できるだけ道路沿いが望ましい。
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