米政府閉鎖が36日目に突入、過去最長更新-空の旅や国民生活に影響
米政府機関の一部閉鎖は36日目に入り、過去最長記録を更新した。ヘルスケア政策や歳出の優先順位を巡る対立により、政府の機能不全が続いている。
連邦議会で共和、民主両党の対立が続く中、経済的な痛みは深刻さを増している。
現役軍人への給与支払いと食料支援の一部資金を賄うための予算措置は、11月末までに尽きる可能性が高い。年内で最も旅行需要が高まる時期を前に、無給で働き続ける航空管制官の欠勤率も上昇している。
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労働省が雇用や物価関連の重要なデータの収集を停止したため、今後数カ月にわたり政策当局者は不完全ないしは欠落したデータに基づいて判断を下さざるを得なくなる可能性がある。
エコノミストらは、今回の政府閉鎖が恒久的な傷跡を残し始めていると指摘する。議会予算局(CBO)は、閉鎖が8週間続いた場合、10-12月(第4四半期)の経済成長率が最大2ポイント押し下げられると見積もっている。その後、来年初めに一時的な回復が見られる可能性はあるものの、それでも経済は数十億ドル相当の生産を失う見通しだという。
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約60万人の連邦政府職員が無給で働いており、さらに65万人が一時帰休状態に置かれている。これらの一時帰休者を一時的にレイオフされた人として分類した場合、失業率は0.4ポイント上昇する可能性がある。
こうした中、4日投開票のニュージャージー州とバージニア州の知事選、ニューヨーク市長選では民主党候補が勝利した。トランプ米大統領は共和党敗北の理由として議会のこう着状態を一因に挙げている。
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政府機能の中には、閉鎖が数日から数週間であれば、多くの米国民の生活に支障が出ないものもあるが、停止が1カ月を超えると影響は大きくなる。
米疾病対策センター(CDC)では週ごとのインフルエンザや新型コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)のデータを追跡する「FluView」ダッシュボードが停止し、世界中の疫学者がよりどころとする「週刊疾病率死亡率報告」の発行も中断された。これは呼吸器系疾患の流行シーズンが始まる時期と重なっている。
教育省の連邦学生支援局では職員の約85%が一時帰休となっており、大学出願シーズンの最盛期に当たる今、連邦学生援助申請書(FAFSA)の処理が遅れる可能性がある。
10月に期限延長で税申告を行った企業や個人も還付金の受け取りが遅れる見込みだ。
さらに、新しい処方薬や季節限定のクリスマス商品など、規制対象製品を市場に投入するための申請もすべて保留となっている。
原題:Longest Shutdown Tests Air Travel, Federal Workers and Patience(抜粋)
— 取材協力 Steven T. Dennis, Jessica Nix, Allyson Versprille, Liam Knox and Caitlin Reilly