エヌビディア、トランプ氏に「先手」を打とうとするバイデン政権非難
人工知能(AI)向け半導体大手のエヌビディアは、米政権が間もなく発表するとみられる新たなチップ輸出規制について、政権交代が迫った土壇場で規則を課すことでトランプ次期政権の動きを損なおうとしていると非難した。
ブルームバーグ・ニュースが8日に報じたところによると、新規則はAIチップの販売に国と企業単位で上限を設けるというもので、世界の大半への輸出をより厳しく制限する動きとなる。最新技術を中国やロシアから遠ざけようとする数年にわたる米国の取り組みの一環だ。
国ごとに上限を設定する「極端な『カントリーキャップ』政策は、世界各国の主流コンピューターに影響を及ぼし、国家安全保障の推進には何の役にも立たず、むしろ世界を代替技術に押しやることになるだろう」と、エヌビディアのネッド・フィンクル政府問題担当副社長は声明で主張した。
エヌビディアは、データセンター事業者が最新のAIモデルを開発するために使用する、いわゆるAIアクセラレーターの主要メーカー。しかし、この技術はゲームなどで使われる画像処理半導体(GPU)をベースにしている。
「バイデン政権が、反中国の動きを装って日常的に使われるデータセンターのコンピューターや、すでに世界中のゲーム用PCに搭載されているテクノロジーをコントロールするのは筋が通らない」とフィンクル氏は論じた。
この規制は、早ければ10日にも発令される可能性がある。トランプ氏が大統領に就任するまでに2週間もない。
「この土壇場でのバイデン政権の政策は、米国の産業界や国際社会から批判される遺産となるだろう。われわれはバイデン大統領に対し、米経済に害を与え、米国を後退させ、米国の敵対勢力の手に乗るだけの政策を制定することで、トランプ次期大統領に対して先手を打とうとするよをやめるよう促したい」とフィンクル氏は訴えた。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は今週、次期政権に協力する用意があると言明。トランプ氏に「会いに行って当選のお祝いを述べ、次期政権の成功のためにできることは何でもしたい気持ちだ」と、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。
原題:Nvidia Slams Biden for Trying to ‘Preempt’ Trump With Policy (1)(抜粋)