[NEW BALANCE CUP]5戦5勝、計24得点3失点と“裏選手権”で抜群の強さ見せる鹿島学園。注目CB齊藤空人主将は3冠と高卒プロで恩返し
[1.5 NB CUP準々決勝 立正大淞南高 0-4 鹿島学園高 時之栖裾野E2]
「NEW BALANCE CUP 2025 IN TOKINOSUMIKA」(通称:裏選手権、静岡・時之栖スポーツセンター)準々決勝で立正大淞南高(島根)に4-0で快勝するなど5戦5勝で計24得点3失点。“大学生みたい”という声も上がるほどの強さを発揮し、鹿島学園高(茨城)は準決勝進出を決めた。
新主将のCB齊藤空人(2年=大阪市ジュネッスFC出身)は、「練習で(鈴木雅人)監督から『今の時期は前から前からどんどん行く』ってなって、みんなの中で徹底して(相手から)外れないってことを意識していて、それは今ピッチで表現できてるんかなって思います」と説明する。現2年生は2023年のルーキーリーグ日本一世代だ。昨シーズン通してAチームで欠かせない存在だった齊藤や1年時から先発の左SB清水朔玖(2年)をはじめ、下級生時から主軸を担った選手が多数。この日はMF西川大翔(2年)やU-16日本代表歴を持つMF木下永愛(2年)が回収して攻撃に結びつけ、注目右SB中原瀬那(1年)もスプリント力を活かして先制アシストを記録するなど組織力と個々の力も印象的だった。
齊藤は「去年出てるメンバーも多くて、やっぱ(選手権に出られなくて)悔しくて……。でも『俺らの代では3冠しよう』って、チーム立ち上げの時のミーティングで、全員で共有して、新たに加わったメンバーとともに今、徐々に上がってる途中です」。今、体現できていることをしっかりと継続できれば、(このNEW BALANCE CUPで)「絶対優勝できる確信がある」(齊藤)というほどの手応えがある。齊藤はJクラブも関心を寄せる注目DFだ。この日は立正大淞南の注目FW若槻大雲(2年)とのマッチアップだったが、特長とする駆け引きの上手さ、「足はもう負ける気がしないです」というスピードを発揮して思うようにボールを触らせなかった。
同時に高打点ヘッドや、「去年から声掛けは1番成長して、人一倍声出せている」というコーチングの部分でも目立っての勝利。ただし、満足感は全く見せずに「目指しているのは、プレミアなんで。このレベルで満足せずに、やっていきたいです」と静かに語っていた。 齊藤にとって、昨秋の選手権茨城県予選決勝(対明秀日立高)は忘れられない試合になっている。0-1の前半終了間際の競り合いで、相手選手の肘が顔面に入り、右目の上下を同時にカット。計75針を縫う大怪我を負った。 齊藤はそのまま病院へ。守りの要を欠いたチームは後半に突き放され、0-2で敗れた。齊藤は敗戦の瞬間を先輩たちともに迎えることができずに選手権予選を終えている。だからこそ、思いは特別。「自分がキャプテンになったんで、チームを引っ張って、ほんとにみんなを国立に連れていきたいです」と力を込めた。 プレーヤーとしては、10本中7本ではなく、10本中10本を成功させるような安定感を求める。そして、「良いプレーから良いプレー」を表現すること。筋力強化にも取り組んでいるDFはジャンプ力と、スピード、読みを活かした攻守で結果を残し、高卒でのプロ入りとタイトルを勝ち取る意気込みだ。 「自分の目標は、高卒プロになって、今まで支えてくれた人に1番恩返ししたいと思っています」。そして、まずはリベンジをかけた県予選で圧倒的な勝利を収め、選手権、インターハイ、プリンスリーグ関東1部(プレミアリーグ昇格)の3冠へ。この「NEW BALANCE CUP」でより自信を掴み、新シーズンへ弾みをつける。 (取材・文 吉田太郎)