韓国、3500億ドル規模の対米投資ファンドで出資は5%未満-政権高官

韓国の金容範・大統領政策室長は、貿易合意の一環として表明された総額3500億ドル(約51兆5000億円)の対米投資について、大半が融資保証で直接的な資本投入ではないと述べ、その規模やリスクに対する国内の不安の緩和を図った。

  金氏は3日に放送されたテレビインタビューで、出資する分は全体の5%未満にとどまるだろうとの見方を示し、この取り組みはあくまで既に商業的に妥当だと判断された米国でのプロジェクトを後押しするためのもので、無条件の資金支援ではないと強調した。

  「この3500億ドルを理解する最も正確な方法は、信用保証の上限として捉えることだ」と金氏は説明。米国でのプロジェクトに参画する韓国企業への支援で政府系の韓国輸出入銀行韓国貿易保険公社が役割を担うとし、「全てに無条件で資金を提供するという話ではなく、商業的に妥当なプロジェクトに投資するということだ」と語った。

  韓国は先週、米国への輸出品に課される関税を15%とする一方で、ファンドを設立して対米投資を行うことに合意。期限間際に成立したこの合意により、25%の関税を賦課される最悪のシナリオを回避できた。韓国経済は輸出依存度が高く、輸出が国内総生産(GDP)の40%以上を占める。

  金氏は、韓国が設立に合意したファンドの構造は日本が打ち出した5500億ドル規模のファンドと極めて似ていると指摘。日本のファンドも同様に融資保証が大部分を占め、このうち実際の出資は1-2%にとどまると赤沢再生相は説明した。

  韓国が発表した3500億ドルのうち、1500億ドルは「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again=米国造船業を再び偉大に)」と呼ばれる造船業支援に充てられ、韓国が主導的な役割を担う。残る2000億ドルは、米国が戦略的優先分野と位置づける半導体、バッテリー、原子力エネルギーの米国内プロジェクトに振り向けられる。

  ただし、米国が提案するプロジェクトの全てを無条件で受け入れ、資金を提供するわけではないと金氏は主張。「商業的な合理性と妥当性があるプロジェクトだけ承認すると、われわれは明確にしている」と述べ、この原則は内部の合意文書に正式に記録されていると明らかにした。

  ファンドによる投資で得た利益は韓国にすぐさま還流させるのではなく、米国で再投資される可能性が高いと金氏は述べ、「それが最終的にプロジェクトに参画する韓国企業の利益になる。利益が生まれれば、プロジェクトが成功したということだ。そうなれば、第2次、第3次の投資機会が開かれる」と続けた。

原題:Korea Expects $350 Billion US Fund to Be Less Than 5% Equity(抜粋)

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