投資家が懸念する米資産リスク、影響は広範に及ぶ恐れ-ECBが警告

Alexander Weber、Mark Schroers

  • ドル・米国債離れ、「根本的な体制の変化」示唆も-金融安定報告
  • ネガティブシナリオの発生リスクや影響を過小評価している可能性

欧州中央銀行(ECB)は21日発表の金融安定報告で、トランプ米大統領の関税政策を受けて、米国資産のリスクに対する投資家の懸念が強まり、これが世界の金融システムにさらなる衝撃を与える可能性があると警告した。

  ECBは半期ごとに発表する同報告で、4月の米通商政策の発表以降、ドルや米国債といったこれまで安全とみなされてきた資産を遠ざける「異例の動き」がみられるとして、「根本的な体制の変化」が示唆されている可能性があると指摘した。

  ECBは「世界的な資本の流れがより広範にわたって変化」するリスクが高まるとの見方を示し、「これが世界の金融システムに重大な影響を及ぼす可能性がある」と続けた。

  トランプ大統領は関税措置の一部を停止し、米国と中国の緊張にも緩和が見られたが、金融安定報告からは政策当局者が引き続き、関税を巡る混乱に頭を抱えていることが浮き彫りとなった。

  ECBは「米政策の広範な不確実性が、米資産に対して投資家がより高いリスクプレミアムを要求する要因となっているようだ」と分析、「また、世界の準備通貨としてのドルや安全資産としての米国債の地位も揺るがした可能性がある」と続けた。

  当局者はまた、資産バリュエーションは依然として高水準にあり、特にトランプ氏が通商政策の見直しを図った後の反発局面でその傾向が強まったと述べた。米テクノロジー企業への強い関心と合わせ、市場は急激な変動に対してなお脆弱(ぜいじゃく)な状態にあると、金融安定報告で分析している。

  さらに「不確実性の高まりによって、テールイベントがより発生しやすくなることを踏まえれば、投資家はネガティブシナリオの発生リスクやその影響を過小評価している可能性がある」とも指摘した。

原題:ECB Warns of Ripple Effects From Investors Questioning US Assets

(抜粋)

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