脳を7.5歳若く保つ「マインド食」とは、認知症のリスクも半減
(ILLUSTRATION BY ALANAH SARGINSON)
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多くの人は、年を取るにつれて脳の働きが衰えるのを恐れている。社会の高齢化に伴って認知症の患者が増えていると聞けば無理もない。2025年1月に医学誌「Nature Medicine」に発表された論文によれば、米国では1年間に認知症を発症する成人の数が2060年までに倍増し、毎年100万人に達する見込みだという。厚生労働省によれば、日本では2060年には認知症の高齢者が645万人に上ると推定されている。
だが幸いにも、認知機能と記憶力を保つうえで、健康的な食生活が大きな影響を及ぼすことが、科学で示されている。
2015年、食事が脳機能と認知機能の低下に与える影響について研究していた科学者たちが、「マインド(MIND)食」という食事法を開発した。マインド食は、地中海式食事法(地中海食)と、高血圧の予防または治療を目的に考案されたダッシュ(DASH)食を組み合わせたものだ。
2023年4月に医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された論文によると、マインド食は脳機能の向上と関連付けられ、加齢による認知機能の衰えも遅らせる可能性があるという。2015年に医学誌「Alzheimer's & Dementia」に発表された論文では、認知機能の低下度を比較したところ、マインド食に最も沿った食事を実践した場合、最も実践しなかった場合に比べて脳が7.5歳若かったことが示されている。
マインド食は、アルツハイマー病や認知症予防にも役立つ可能性がある。中高年者を平均4年半追跡した研究では、マインド食を最も忠実に実践した場合は、最も実践しなかった場合に比べてアルツハイマー病になるリスクが半分以下だったことが示された。マインド食を部分的に実践した場合でも、地中海食やダッシュ食を部分的に実践しただけの人と比べて、アルツハイマー病のリスクはより大きく下がった。
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