NY市場サマリー(19日)ドル下落、利回り上昇 株ほぼ横ばい
<為替> ドルが幅広く下落し、安全通貨である円やスイスフラン、ユーロに対して1週間超ぶりの安値を付けた。先週末に米政府の信用格付けが予想外に引き下げられたことや、貿易摩擦が重しとなった。
これを受け、ドルは主要通貨に対して下落した。ただ、午後にかけてドル売りは勢いを失った。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「これは本当のゲームチェンジャーとなるものではない。ムーディーズは誰も知らなかったことを教えてくれたわけではない。米政府内で何が起きているのかや、ムーディーズが指摘している巨額の財政赤字は周知の事実だ」と述べた上で、アジアと欧州市場でドルが下落したことを受け、北米市場では安値拾いのドル買いがあったと指摘した。
ドル/円は一時144.665円まで下落し、5月8日以来の安値を付けた。終盤は0.5%安の144.98円で推移した。
ドルはスイスフランに対しても、1週間以上ぶりの安値となる0.8317スイスフランまで下落した。
ユーロ/ドルは0.6%上昇し、1.1232ドルとなった。一時5月9日以来の高値まで上昇した。
NY外為市場:
<債券> 長期ゾーンの利回りが上昇した。格付け会社ムーディーズが16日に米国債格付けを引き下げたことや、トランプ米大統領が掲げる減税策を盛り込んだ法案が予想以上に債務負担を拡大させるとの懸念が広がったことが背景。
ただ、利回りが一部の投資家が魅力的と見なす水準にまで達した上、今週は重要な経済指標の発表が予定されていないことから、利回りは次第に上昇幅を縮小した。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの米国金利取引責任者マイケル・ロリツィオ氏は「共和党が上下両院の多数派を占める状況を考えると、当初の予想よりも財政赤字は拡大する公算が大きい」と指摘。「格下げと同等、あるいはそれ以上の要因となるだろう」と述べた。
2年債利回りは0.9ベーシスポイント(bp)低下の3.974%。
一方、指標となる10年国債利回りは3bp上昇の4.469%。一時、4.564%と4月11日以来の高水準を付けた。
2年債と10年債の利回り格差は49.5bpと2bp拡大した。
30年債利回りは3.7bp上昇の4.934%。一時、2023年11月以来の高水準となる5.037%まで上昇した。
今週は財務省が21日に160億ドルの20年債、22日に180億ドルの10年物インフレ連動国債(TIPS)を発行する予定。
米金融・債券市場:
<株式> ほぼ横ばいで取引を終えた。米国債格下げを受け、市場のセンチメントが弱まった。
ウェルス・コンサルティング・グループのチーフ市場ストラテジスト、タリー・レジャー氏は「(ムーディーズの)発表が引け後だったことから、市場で多少の反応が見られるのは当然だろう」と指摘。その上で、「私の見解では『米国売り』の動きは行き過ぎだ」と語った。
米国株式市場:
<金先物> 米国債格下げを背景に安全資産としての金需要が高まり、反発した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前週末比46.30ドル(1.45%)高の1オンス=3233.50ドル。
NY貴金属:
<米原油先物> 米イラン核合意期待の後退などを背景にやや買いが優勢となり、小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.20ドル(0.32%)高の1バレル=62.69ドル。7月物は0.17ドル高の62.14ドルだった。
NYMEXエネルギー:
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