「日本人ファースト」の“本質”がキケンすぎる…「参政党ブーム」をボロクソに叩く人に“熱狂の正体”が見えないワケ(ダイヤモンド・オンライン)

● 「日本人ファースト」が支持を得るのは “歴史の必然”だ  「日本人ファースト」を掲げる参政党が急速に支持を広げている。  筆者もある参政党候補者の街頭演説を聞きに行ったら、聴衆の数自体はそこまで多くなかったものの、思っていたよりも若い人たちの姿があって驚いた。  一方、「出る杭は打たれる」ということなのか、批判的な声も増えている。  例えば、参政党候補者は、日本人よりも外国人が優遇されているということを盛んに訴えている。メディアの中にはこれは「デマ」であり、外国人差別や排外主義を煽っていると厳しく批判するところもある。また、代表の神谷宗幣氏が演説で「高齢の女性は子どもが産めない」などと発言したことも、女性差別だと市民団体が抗議をしている。  確かに筆者が街頭演説を聞いていたときも、「参政党ナチス」というプラカードを掲げた人が候補者に近づこうとしては、警備担当者に追いかけまわされていた。  さらに、参政党は「新日本国憲法」(構想案)を公表している。こちらも国家主権に偏り過ぎているとして、憲法学者や有識者から「右とか左とか以前の怪文書」「国民主権を否定するなんて憲法を読んだことがない人がつくったの?」などボロカスに叩かれている。  ちなみに、2大スクープ週刊誌の今週のトップ記事は「参政党 神谷宗幣は日本のトランプか?」(週刊文春)、「参政党神谷代表の危うい実像」(週刊新潮)。神谷代表を“数字の取れるスター”として完全にロックオンした形だ。  こういう話を聞くと、「こんな問題だらけの政党が支持を拡大しているなんて最近の日本人ヤバくない?」と心配になる人も多いだろう。だが、歴史を冷静に振り返ると、特に驚くような現象ではない。

 これまでも日本では、経済的に苦しくなって社会に閉塞感が漂ったときに、不安になった大衆が「日本人ファースト」のような主張にわっと飛びつくということがたびたび起きているのだ。  例えば1930年代、「日本第一主義」「日本至上主義」「日本主義」という言葉に多くの日本人が飛びついた。  政治運動も取り締まっていた朝鮮総督府警務局が1933年12月に発行した「高等警察用語辞典」には以下のように説明されている。  《日本主義は端的に云へば日本本位主義、日本第一主義、日本至上主義である。国際生活、政治生活、経済生活、文化生活等の一切の部面を通じて終始「日本」に立脚して意識し思念することである。(中略)全一無私一君萬民の専制政治の実現を強調するものである》(290ページ、旧字体は新字体に変換)  なぜそんなにも日本、日本と意識するようになったのかというと、日本社会に閉塞感が漂い、未来に明るい兆しが見えなかったからだ。  国内では「昭和恐慌」が起きて農民や労働者の貧困が問題化していた。相次ぐ小作・労働争議やマルクス主義の流行に治安当局は頭を痛めていた。また、国外へ目を移すと、1931年に陸軍が起こした満州事変によって、日本は国際社会で全方向から批判されて、孤立の道を歩んでいた。  このままでは日本はどうなってしまうのか。そんな不安にかられた庶民たちを勇気づけたのが「日本第一主義」だったのである。  ここまで言えば、なぜ令和日本の有権者の心を「日本人ファースト」がわしづかみしているのかおわかりだろう。  「昭和恐慌」ほどではないが今の日本は30年間、低成長・低賃金が固定化している。人口減少で社会保障が膨大に膨れ上がり、国の借金は世界最悪の1300兆円を超えている。国外へ目を移すと、中国は領空・領海侵犯を繰り返すなどやりたい放題、同盟国のアメリカも「自国第一主義」を唱えて無理難題を押し付けてくる。  このままでは日本はどうなってしまうのか。そんな不安にかられた人々を勇気づけているのが「日本人ファースト」なのだ。

ダイヤモンド・オンライン
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