ECB、「金融政策はなお景気抑制的との評価が妥当」-議事要旨
Alexander Weber、Jana Randow、Mark Schroers
- 政策金利が中立金利に近づく中、「利下げ幅、ペースは慎重に」
- 2%物価目標の達成に向け自信も、インフレリスクに上振れの兆候
欧州中央銀行(ECB)の政策当局者は、現状の金融政策設定を景気に「抑制的」と形容し続けることに対し、自信を示していた。27日に公表された1月29-30日の政策委員会会合の議事要旨から分かった。
議事要旨では「現在の中銀預金金利でも、金融政策は依然として景気抑制的であるとの評価が比較的妥当との認識が広くあった」としている。
ECBは3月6日の次回政策委員会会合で、前回会合に続き、政策金利を2.75%から2.5%に引き下げる見通しだ。実現すれば、昨年6月以降の利下げ幅は計150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達する。その後の展開については、より意見が分かれている。
政策委員会の一部は引き続き、サービス価格の高止まり、エネルギー価格の上昇、米国による関税を懸念しているが、経済成長の低迷と2%のインフレ目標を達成できないリスクをより重視する委員もいる。現時点での金融政策の景気抑制度合いについても、委員会内の認識は分かれる。
議事要旨で公表された、その他の主なコメントは以下の通り。
金利について
- 「インフレ率が持続的に目標値に収束しつつある中、主要政策金利の着地点について議論するのは、時期尚早であるとの判断があった」
- 「政策金利が中立金利に近づいている局面では、不確実性が高い現状を考慮し、先行きの利下げ幅やペースについて、より慎重な対応が必要との意見が示された」
中立金利について
- 中立金利とターミナルレートとの関連性に関する公の議論は、誤解を招くものと考えられた
- 「中期目標の達成と整合する適切な政策金利の道筋を、政策委員会が会合ごとに特定し、決定していく以外に選択肢はない」
- 「中立金利が上昇しているということは、今回の会合で政策金利がさらに引き下げられれば、中立金利の領域に近づく可能性が高いということだ。これは、金融政策がもはや引き締め的とは言えない地点に近づいていることを意味する」
インフレ率について
- 「政策委員会メンバーは、インフレ抑制のプロセスが順調に進んでいることに同意した。一方で、成長見通しは依然として弱い」
- 「インフレ率は目先で目標を上回る状態が続くと予想されるが、総合、コアのインフレ率は最近ECBの予測を下回っており、適時かつ持続的な収束への自信は高まった」
- 「12月以来、リスクのバランスが上方向に変化していることを示す複数の兆候が見られた。例えば市場調査では、インフレ率が目標を上回るリスクが、下回るリスクより大きいことが示されている」
経済について
- 「成長見通しに対するリスクはなお下方向に傾いている。これは通常、長期的なインフレ率の下方リスクも伴う」
- 「経済活動の見通しは、地政学的な緊張、ユーロ圏の財政政策への懸念、米政権の今後の政策で貿易摩擦が生じ世界的に経済が減速する可能性などにより、不確実性に覆われている」
- 「インフレ抑制のプロセスが軌道に乗っている限り、経済を不必要に抑制しないよう、政策金利を中立水準にさらに近づけることが可能だろう」
原題:ECB Officials Deemed It Safe to Keep Calling Policy Restrictive(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE