土星の環が消えました。2025年3月24日に起きた「環の消失」現象とは
土星といえば、なんといっても大きく広がった輪っかがチャームポイント。しかし、あの輪っかは定期的に見えなくなっているってご存知でしょうか?
直近で消えたのは3月24日なんです。「えー、見逃した! 」と悔しがる必要はありません。その時のタイミングでは太陽に近い位置にあったので、北半球からではかなり観察が難しかったんです。
それにしても、輪っかが消えるってどんなメカニズムなんでしょう? 見えるチャンスってまた訪れるのでしょうか?
土星の輪っかが消える「環の消失」現象の仕組みとは
地動説を証明しようとした人々を描く漫画『チ。』の大ヒットを受け、今、最もホットなトピックとなった「自転」。土星も自転していて、自転軸の傾きは約27度と言われています。そして、太陽の周りを約29.4年かけて一周しています。
つまり、傾いた土星が自転して、さらに公転しているってことは、地球から観測したときに輪っかの傾きも変化して見えるってことなんです。
そして、輪っかの横幅は約27万キロメートルと馬鹿でかい一方で、厚さはたったの約10m。紙を横から覗いたら線にしか見えないのと同じで、土星の輪っかもほぼ真横になると光の反射が極端に小さくなって、まるで消滅したかのように見えるんです。この現象は約14〜17年おきに発生します。
輪っかが見えなくなることで研究が進む
「環の消失」現象は珍しいだけでなく、研究者にとってメリットがたくさんあります。
たとえば、反射光が少なくなると、輪っかそのものの正確な厚みや、上下方向の構造などを観察データから推定しやすくなります。
それと普段より土星周辺が観測しやすくなります。この時期に得られた観測データの蓄積によって、のちに新たな衛星と認められた天体もあるんですよ。
なので、地球の多くの場所から「環の消失」現象を直接見られなかったとしても、研究者をはじめ、天体ファンは超ワクワクなんです。
次に土星が大きな話題になるのは9月
ちなみに、土星の輪っかを綺麗に見るなら、「土星の衝(しょう)」というタイミングがオススメ。
1年に1回、地球が土星と太陽の間に入る配置になり、一晩中土星が綺麗に見えるようになるんです。今年は9月21日頃だと言われています。
土星と地球の距離が比較的近くなることで明るさも増すので、望遠鏡や倍率の高い双眼鏡を使えば輪っかがはっきり綺麗に捉えられるようになりますよ。
私はまだ土星を見たことがないので、天体アプリを駆使しながら土星を観察したいとおもいます。
それにしても、ここ最近の天体や宇宙に対する盛り上がり、すごいなぁ。
Source: Space.com