極めて稀な「白い虹」 なぜ白いのか、見られる条件とは

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虹と聞くと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7つの色で空に描かれるカラフルな弧を想像するだろう。しかし、あまり知られてはいないが、白い虹も存在する。一般に「霧虹」と呼ばれる現象で、霧が出ている場所でまれに発生する。

記録が残っている最古級の目撃例は、現在のエクアドルにあたる地域で、1737年8月から1739年7月のあいだに、スペインの科学者・探検家のアントニオ・デ・ウジョーアが見たものだ。ウジョーアは、3つの光の環(彼は虹と呼んでいる)と「白みがかった第4の弧」を目にして、「限りない驚き」を覚えたと記している。この第4の弧が、今日では霧虹として知られている現象だ。

白い虹と、これを野外で見つける方法などについて紹介する。

霧虹と虹は、どちらも太陽光が水滴に当たるとできる。「原理は同じですが、水滴の大きさの違いが、どの色が見えるか、あるいは見えないかに影響します」と、米ノースダコタ州の地域メディア「KXニュース」の主任気象予報士ケニー・ミラー氏は言う。

典型的な虹は、太陽光が大きな雨粒で屈折し、跳ね返ると形成される。つまり、「光が水滴の中を通る際に曲がり、さらにその背面で反射する、ということです」と、米ニューハンプシャー州マウントワシントン天文台の気象観測員ベイリー・ノーディン氏は説明する。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫といったおなじみの色は、「光が異なる角度で曲げられること」によって生じる。

霧虹は、太陽光が雲粒、つまり雲を構成する小さな水滴で屈折し、さらに回折することで形成される。この回折こそが、霧虹が白く見える鍵となると、ミラー氏は言う。ただし、まず必要になるのは霧だ。

霧は一年を通して発生するが、たとえば春に暖かくなって雪が解け始めるころや、気温が下がりやすい日の朝など、とりわけ気温が大きく変化するときに多く見られる。霧虹は、寒い日に息が白く見える現象に似ていると、ミラー氏は言う。

「あの現象は、いわば自分で雲や霧を作っているようなものです。口から暖かい空気が出て、周囲の冷たい空気と相互作用して凝結が起こっているからです」

通常の虹が見えるとき、水滴は比較的大きな雨粒で、直径は1〜3ミリ程度だ。そのくらいの大きさの水滴は球形になり、色がより均一に分布する。

一方、霧虹に必要なのは、直径約0.05ミリメートルの雲粒だとミラー氏は言う。

こうした小さな雲粒でも屈折は起こる。だが「同時に回折も起こり、その結果、色はさまざまな方向に広がります」とミラー氏は説明する。

回折とは、光が水滴の周囲を回り込むように曲がる現象だ。一方の屈折は、光が空気から水滴の中へと進む際に曲がる現象のことを指す。「これら二つの現象が組み合わさることにより、すべての色がにじんで混ざり合い、さまざまな色ではなく、白く見えるようになるのです」とミラー氏は言う。

霧虹の色は常に真っ白ではない。ミラー氏によると、ときにはわずかに赤や紫が見えることもあるという。「これが起こっているときは、色の広がりという点で、回折よりも屈折の影響の方がやや優勢になっている状態です」

霧虹を研究すれば、大気光学や、光が空気中の水滴と相互作用するときにどのような振る舞いをするかがよりよく理解できるようになる。コンピュータ科学者は、シミュレーションにおいて水滴の大きさや形状を調整し、霧虹や二重虹、さらには一本の虹が二つに分かれて見える虹など、さまざまな光学現象の再現に成功している。

霧虹は必ずしも簡単に見つけられるものではない。たとえ近くで発生していても、それを見るのにちょうどよい位置にいなければならない。

霧虹を見るには霧が発生している必要があるが、霧は視界を悪くするため、自分が霧の中に入り込んでいると見えないこともある。「太陽か月が自分の背後にあって、霧を照らしている必要があります」とノーディン氏は言う。

氏によると、山頂や北極などの霧が出やすい場所を除けば、霧虹は世界的にも珍しい現象であり、めったに見られないものだという。

霧虹を見たり、その科学的な仕組みを知ったりすることは楽しい体験ではある。だが、それ以上の特別な意味があるわけではないと、ミラー氏は言う。

「わたしのような科学オタクであれば、興奮して『あれを見てください、すごいでしょう! どれほど珍しい現象だかわかりますか』などとしゃべり出すでしょうが、それだけのことです。つまりは、単にオタク心をくすぐる現象の一つというわけです」

文=Megan Wollerton/訳=北村京子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2026年5月21日公開)

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