多発性骨髄腫に対するブーレンレップ等、抗がん剤5製品が二部会を通過
[公開日] 2025.04.23[最終更新日] 2025.04.23
4月21日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が開催された。同部会において、審議事項のうち1製品が、また報告事項のうち4製品が抗がん剤関連であった。 申請企業:グラクソ・スミスクライン 効能・効果: 「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品 ブーレンレップは、非切断型のリンカーを介して、がん細胞に過剰に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するヒト化抗モノクローナル抗体に、細胞傷害性抗がん剤であるアウリスタチンFを結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。 今回の承認は、1つ以上の治療歴を有する多発性骨髄腫を対象とした第3相DREAMM-7試験およびDREAMM-8試験に基づくもの。同試験の結果に基づき、ブーレンレップの用法は、ボルテゾミブ+デキサメタゾン、またはポマリドミド+デキサメタゾンとの併用として設定されている。 申請企業:アストラゼネカ 効能・効果: 「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果とする新効能医薬品 タグリッソは、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤である。 今回の承認は、プラチナ系抗がん剤の根治的化学放射線療法後に病勢が進行しなかった、切除不能なⅢ期EGFR変異陽性非小細胞肺がんを対象としたLAURA試験の結果に基づくものである。 申請企業:MSD 効能・効果: 「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」を効能・効果とする新効能医薬品 キイトルーダは抗PD-1抗体薬。 今回の承認は、海外第2/3相KEYNOTE-483試験および国内第1b相KEYNOTE-A17試験の結果に基づく。初回治療においてプラチナ系抗がん剤とペメトレキセドと併用する。 なお、同じ抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)に関しても、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に適応を持っている。 申請企業:ノバルティスファーマ 効能・効果: 「慢性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品 BCR-ABLチロシンキナーゼの活性化には、ATP結合部位に加え、ABLミリストイルポケットという部位が重要である。通常のABLタンパク質は、ABLミリストイルポケットにABLの末端部分が結合すると不活性化するが、BCR-ABLチロシンキナーゼでは、ポケットに結合できず常に活性化状態にある。セムブリックスは、ABLミリストイルポケットに結合し活性化を阻害する。 従来の適応は、「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」で、3次治療での使用となっていたが、今回未治療の患者を対象に初回治療から使用できるようになる。 申請企業:ヤンセンファーマ 効能・効果: 「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」を効能・効果とする新用量医薬品 ライブリバントは、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体。 今回の承認は、タグリッソ耐性後の局所進行性又は転移性のEGFR変異陽性非小細胞肺がんを対象に、ライブリバント+化学療法(カルボプラチン、ペメトレキセド)の有効性を検討した第3相MARIPOSA-2試験の結果に基づくものであり、EGFR変異陽性の既治療患者に対する用量が追加された。 なおライブリバントは、既に「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する初回治療(化学療法と併用)」、「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する初回治療(ラズクルーズと併用)」での適応を取得している。 参照元: 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)