いきなり超低減は非現実的 脱ホルムズで石油元売りが語る本音

ホルムズ海峡を通過し、伊勢湾シーバースに到着した原油タンカー「出光丸」=名古屋港で2026年5月25日、本社ヘリから西村剛撮影

 中東情勢の悪化により再認識させられたのが、原油の輸入を中東に依存し過ぎている日本の危うさだ。

 政府内では、輸入先の多角化に向けた議論がされ始めた。

 だが、石油元売りのトップは警鐘を鳴らす。

 「エネルギー安全保障の確立や安定調達には、相応のコストがかかる」

 出光興産の酒井則明社長が語った本音とは。【聞き手・山口智】

 <9割を超える中東依存度の背景に迫り、今後の展望を考えます> ・脱ホルムズの行方 「油をくれ」だけで進まなかった交渉の切り札 ・田中角栄氏の95歳元秘書官が語る中東依存の理由

こんなこと起こらないと思った

 ――中東情勢が悪化してから、どのように対応したのでしょうか。

 ◆ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、イランにとって自分たちの首を絞めることになります。

 こんなことは起こらないと思っていました。でも、本当に起こってしまったんです。

 ――ホルムズ海峡を通ることなく輸入できた原油の量は、6月分だと2025年の毎月の平均と比べて約8割に上りました。

 ◆春先には、このような状態まで持ってこられる確証を得ていませんでした。現在は一定程度、安心感を持っています。

 米国にはシェールオイルがあり、ホルムズ海峡を通らずに輸入した原油の中では、かなり調達できています。

 原油には、産地によって比重や硫黄分の違いがあります。性質に合わせて精製する必要があります。

 国内の製油所は中東産の仕様になっているので、全く違う産地の原油をそのまま精製するのは難しいですね。

 このため、各地の原油を混ぜて、できるだけ中東産を処理していた時と同じような性質に近づけているんです。

 それでも製油所を稼働させて支障が出ていないか、今も検証しています。答えは出ていません。

調達先の多角化、簡単ではない

 ――ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて、原油の中東依存度の高さが注目されました。

 ◆中東依存度について、もう一度、中東情勢が悪化する前の状態で良いのか検証する必要があります。

 ですが、もし調達先を多角化するとしても、簡単な話ではありません。

 中東産の原油の割合を一定程度減らして、新しい国の原油に切り替えていくとしましょう。

 日本が中東の産油国と長年かけて築いてきたように、良好な関係をしっかり作らなければ、安定的な調達の保証は得られません。

 中東の産油国とは、何十年もかけて関係を築き上げてきま…

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