米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで5カ月ぶり低水準
[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日発表した4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は一段と低下し、48.7と5カ月ぶりの低水準を付けた。低下は2カ月連続。トランプ米政権が掲げる関税措置で供給網が圧迫され、投入コストが高止まりしている実態が浮き彫りになった。
<トランプ大統領の保護主義貿易政策の影響鮮明>
今回の統計はトランプ大統領が4月2日に大規模な相互関税措置を発表した後の期間が対象。製造業は輸入原材料に大きく依存しており、全ての業種がトランプ政権が掲げる関税措置に問題があるとの見方を示したほか、一部の業種は関税措置の無秩序な導入方法に懸念を表明。トランプ大統領の保護主義的な貿易政策で製造業が打撃を受けていることが判明した。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「対中関税を含む関税措置が近く緩和されたとしても、米国の製造業の縮小は夏にかけて深刻化する」と予想。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「関税措置を巡る混乱で(製造業)活動が急激に落ち込んでいるほか、納期が長期化し、在庫が蓄積している」と指摘。「製造業の健全性はPMIの数値が示すよりも悪化している」と述べた。
業種別では、輸送機器、木材、紙製品など6業種が縮小。電気機器・家電、コンピューター・電子製品、機械などを含む11業種は拡大した。
輸送機器メーカーは、輸出入の際の国境通過に時間がかかっていることのほか、関税の算出方法が複雑で完全には理解されていないことなどを挙げ、関税措置で業務が影響を受けていると報告。コンピューター・電子製品メーカーは「中国からの全ての入荷が保留状態にある」とし、「適正な利益率を確保するために必要な価格設定は実現可能ではない」とした。
<納入遅延、支払い価格上昇>
構成指数では、先行指標となる新規受注が47.2と、前月の45.2から改善。前月は2023年5月以来の低水準を付けていた。
ただ、供給業者の納入ペースは悪化。供給業者の納入を示す指数は55.2。前月は53.5だった。同指数は50を超えると納入が遅延していることを示す。
納入ペースが鈍化する中、支払い価格指数は69.8と、前月の69.4から上昇し、22年6月以来の高水準を付けた。
雇用指数は46.5と、前月の44.7から改善。拡大・縮小の分岐点となる50はなお下回っているものの、雇用縮小ペースが緩和したことが示された。
4月は輸入を示す指数が昨年12月以来、初めて低下。関税措置を回避するための輸入の前倒しが続いた兆候はみられなかった。
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