エプスティーン元被告のファイル完全公開、トランプ氏が一転し支持 共和党議員らも要求
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アメリカで、性犯罪で有罪とされたジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関する記録の全面公開を当局に求める声が一段と強まっている。与党・共和党にもそうした要求をする議員は多く、連邦下院には公開のための法案が提出されている。元被告との交友関係が問題視されているドナルド・トランプ大統領は、公開を求める議員をこれまで攻撃していたが、16日に姿勢を転換し、法案に賛成するよう下院の共和党議員団に呼びかけた。
下院では今週、司法省に関連ファイルを公開させる「エプスティーン・ファイル透明化法」案が採決される見通しとなっている。公開の対象は、元被告に関連する、機密扱いとされていないすべての記録、文書、通信、捜査資料。
BBCが提携する米CBSは、複数の関係者の話として、18日にも採決が行われると伝えている。
こうしたなか、トランプ氏は16日夜、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに、「下院の共和党議員たちは、エプスティーン関連ファイルの公開に賛成票を投じるべきだ。私たちに隠すものは何もないからだ」と投稿した。
また、「司法省はすでに『エプスティーン』について数万ページを公開し、さまざまな民主党関係者(ビル・クリントン、リード・ホフマン、ラリー・サマーズら)とエプスティーンとの関係を調査中だ。下院監視委員会が法的に要求できるものは何でも渡せばいい、私は構わない!」と書いた。そして、共和党議員らに「本題に戻れ」と訴えた(編注:太字は原文では全て大文字)。
法案は下院(定数435)では、通過に十分な賛成票を確保しているもよう。しかし、上院(定数100)を通過するかは不透明な情勢となっている。両院で可決されても、法案の成立にはトランプ氏の署名が必要となる。
法案を共同提案したトーマス・マッシー下院議員(共和党)は16日、米ABCニュースのインタビューで、共和党議員100人近くが賛成する可能性があると話した。
エプスティーン元被告とトランプ氏は、2000年代はじめまで友人関係にあった。トランプ氏は、元被告が法的責任を追及されるようになる前に、元被告とは仲たがいし、関係が終わっていたと説明。元被告との関係において、不正行為は一切していないと主張し続けている。
それでもトランプ氏に対しては、エプスティーン元被告の事件記録の取り扱いなどをめぐり、党派を超えて批判が向けられている。
連邦議会は先週、元被告の電子メール数千通を公開した。その中には、トランプ氏に言及したものもあった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によると、電子メールのスレッド2324件のうち1600件以上にトランプ氏の名前が出てきたとされる。
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エプスティーン元被告の関連ファイルの公開を要求し、トランプ氏の激しい攻撃を受けているのが、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党)だ。
トランプ氏は14日、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルで、グリーン氏を「裏切り者」、「変人」、「わめき散らす狂人」と非難。文句を言ってばかりだとし、もう同氏を支持しないと表明した。
トランプ氏の投稿は、エプスティーン元被告のファイルには言及していない。だがグリーン氏は、トランプ氏との確執は「すべて『エプスティーン・ファイル』に帰結する」としている。
両者の関係悪化が深刻になった後も、グリーン氏はすべてのファイルの公開を求め続けている。
グリーン氏は16日、米CNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、まだトランプ氏を支持してはいるが、エプスティーン元被告関連のファイルを隠そうとするトランプ氏の努力には賛成できないと話した。
また、「これらのファイルに関して国民が透明性を得るべきだと、私は信じている。金持ちや権力者が悪いことをした場合、守られるべきだとは思わない」と述べた。
グリーン氏はさらに、なぜトランプ氏が、ファイルを公開しないよう強く働きかけているのかと疑問視した。一方で、エプスティーン元被告の被害者らからは、トランプ氏が違法なことは何もしていないと聞いているとし、その言葉を信じていると話した。
グリーン氏はまた、アメリカでは政治における憎しみと分断が、家族や友人や隣人をばらばらにしていると述べ、そうした政治での憎悪と分断を終わらせることに力を注いでいると表明した。
さらに、「アメリカは団結し、有害で危険な暴言や分断を終わらせる必要があると思う。私は自分の行動でそれを率先する。トランプ大統領にも同じことを望む」と述べた。
グリーン氏はCNNで、トランプ氏による自分への攻撃は、政界での有害な内輪もめを永続させるだけでなく、グリーン氏の身の安全も脅かしていると述べた。