トランプ次期政権の国境担当責任者、不法移民の大量送還行う方針表明
トランプ次期米大統領が国境担当責任者に指名したトム・ホーマン氏は、不法移民に対する大規模な取り締まりを実施し、メキシコとの南部国境沿いの警備を強化する方針を示した。
ホーマン氏は26日、テキサス州のアボット知事との国境視察を前にFOXニュースの番組に出演し、同州と緊密に協力して治安対策を強化すると表明。同氏はトランプ氏が米国の移民対策を強化するため広範な大統領令を活用する方針だと明らかにした。
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ホーマン氏は、「われわれは、この国境を不法に越えれば拘束されるという強いメッセージを世界に向けて発信している」と述べた。
不法移民の大量強制送還を行うという公約を掲げるトランプ氏がホワイトハウスへの復帰準備を進める中、今回のホーマン氏の発言は強硬な移民政策への転換に向けた基盤整備となりそうだ。
ただ、詳細についてはまだ明らかにされておらず、どのようなプログラムも議会による多額の予算承認と送還される移民を受け入れる各国の協力が必要となる可能性が高い。
移民の大半が亡命申請を希望し、国境を越えて押し寄せる事態が続く中、アボット知事は国境警備の強化に多額の資金を投入。米国に入国した移民の多くをニューヨークやシカゴなどの都市へ移送するバスプログラムを実施した。
ホーマン氏はテキサス州イーグルパスで行われたイベントで、不法滞在者の大規模な一斉摘発計画について改めて説明。同氏は知事や市長らに対し、強制送還の実施を目指す連邦当局に協力する必要があると警告した。
同氏は、国境沿いに設置した「浮き壁」や不法越境者の逮捕などアボット知事の国境対策を称賛したほか、トランプ政権としてテキサス州と協力する方針を強調した。
ホーマン氏はFOXの番組で、来年1月20日の次期政権発足まで待つことなく、テキサス州の国境を封鎖して米南西部全域の国境警備を100%確保する計画を既に立てていると述べた。
このアプローチには、メキシコから不法入国して亡命申請を行った中米出身者をメキシコに移送して審査が終わるまで数カ月ないし数年待機させる「メキシコ待機」措置の復活などが含まれる可能性がある。ホーマン氏は、大統領令が議会の立法措置の行き詰まりを回避する上で中心的な役割を果たすとの見方を示した。
原題:Trump Border Czar Pick Promises Mass Deportations Are Coming (1)(抜粋)