アメリカ、イランに15項目の計画を提示か トランプ氏はイランとイスラエルの攻撃続く
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米・イスラエルとイランの戦争が続くなか、アメリカがイランに対し、パキスタンを通じて15項目の計画を手渡したと複数メディアが報じている。パキスタンはこれより前、戦闘状態にある両者の和平協議を主催すると申し出ていた。
計画には、ホルムズ海峡の開放要求に加え、合意後の制裁解除などが含まれているという。BBCはこの文書を見ておらず、報道内容の確認を進めている。
これに先駆け、ドナルド・トランプ米大統領は24日、記者団に対し、自身の政権がイランの「適切な人物と話している」と述べ、「彼らは非常に強く合意を望んでいる」と語った。また、「この戦争に勝利した」と述べたものの、この戦争が実際にどのように終結し得るのかについては、ほとんど触れなかった。
イランはかねて、交渉が始まっているとするトランプ氏の発言を否定している。
15項目の計画は、米紙ニューヨーク・タイムズとロイター通信、イスラエルのチャンネル12が、複数の匿名情報筋を引用して伝えた。
チャンネル12によると、アメリカの要求には、ホルムズ海峡が開放されて自由海上区域とみなされることが含まれるという。また、イランがこの計画に合意した場合に得るとされる内容にも触れており、これには制裁解除が含まれているという。
この報道の後には、イランの国連代表部が声明を発表し、「非敵対的な船舶」が、「イランの権限ある当局」と調整した場合に限り、ホルムズ海峡を通過できると強調した。
イランの国連代表部はソーシャルメディア「X」への投稿で、「イランに対する攻撃行為に参加も支援もせず、宣言された安全・保安規則を完全に順守する非敵対的な船舶」は、「有能なイラン当局と連携しながら、ホルムズ海峡を安全に通航する恩恵を受ける」と述べている。
世界の石油と液化天然ガスの約20%が通過するホルムズ海峡は、2月28日にアメリカとイスラエルがイランを攻撃し戦争が始まった直後、実質的にイランが封鎖している。
一方で今月に入り、中国やインド、パキスタンの船舶が同海峡の通過に成功している。ただし、オマーン寄りの2本の狭い通航回廊ではなく、より北側のイラン領海を通るルートを通り、イラン当局が通航を監視・管理できるようになっているという。
BBCのポール・アダムズ外交担当編集委員は、イラン国連代表部の声明は、各国や企業が同海峡の安全な通航を交渉してきた状況を正式に認めるものだと指摘。イランはこの重要な水路に対し、可能な限り最大限の支配力を引き続き行使する姿勢を明確にしていると解説した。
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トランプ氏はこの日、新しく国土安全保障長官となったマークウェイン・マリン前上院議員の就任宣誓式に出席した後、中東情勢について記者団に語った。そのなかで、イラン政権が核兵器を決して保有しないと合意したと、従来の主張を繰り返した。また、米・イスラエルの攻撃がイランに「体制転換」をもたらしたとも語った。
トランプ氏は、イランにはもはや海軍も指導者もレーダーも残っていないとの持論を繰り返し、アメリカの作戦を「非常に大きな成功」と呼んだ。また、イランの海軍、空軍、通信能力は「消滅した」と述べ、通信できない状況が「最大の問題」につながっていると話した。
和平協議については、イラン側の交渉担当者がアメリカに、石油とガスに関連する「非常に重要な贈り物」を与えたと述べた。その「贈り物」はホルムズ海峡に関係していると述べたが、詳細は明らかにしなかった。
一方でトランプ氏は、これによって「こちらは適切な相手と取引している」と分かったと述べた。
娘婿のジャレッド・クシュナー顧問とスティーヴ・ウィトコフ中東特使を、イランとの直接交渉のため派遣するかとの質問には、J・D・ヴァンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官と共に、クシュナー、ウィトコフ両氏が「今まさに」交渉に関わっていると述べた。
一方、イラン側の交渉担当者について説明を求められると、「我々は彼らの指導者全員を殺し、彼らが新たな指導者を選ぶために集まったところを、また全員殺した」とトランプ氏は答えた。
トランプ氏の会見では、アメリカが地上部隊をイランに派遣する可能性や、ホルムズ海峡を確保するための部隊派遣については取り上げられなかった。
この会見より前に、BBCのバーナード・デブスマン・ジュニア記者がこの件をホワイトハウスに問い合わせたところ、会見後に「部隊の派遣に関するすべての発表は、戦争省から行われる」との回答が送られてきた。
BBCは24日午前に国防総省にコメントを求めていたが、ホワイトハウスに問い合わせるよう指示された。
こうしたなか、イランとイスラエルによる攻撃の応酬が続いている。イラン原子力庁(AEOI)は24日、ブシェール原子力発電所の敷地が再び攻撃を受けたと発表した。イランの各メディアが声明を掲載した。
声明は、この攻撃がアメリカとイスラエルが実施した攻撃の「続き」だと主張。一方で、攻撃は「財政的または技術的な損害を生じさせず、死傷者も出ていない」とし、「施設のいかなる部分も」影響を受けなかったと述べている。
AEOIは、同原発が3月17日にも攻撃されたと発表していたが、その際も死傷者や損害はなかった。
声明は、「平和的な核施設」への攻撃を非難し、こうした行為は地域の安全保障に「危険で回復不能な結果」をもたらす可能性があると警告。「とりわけ湾岸沿いの国々」にとって深刻だと述べている。
国際原子力機関(IAEA)は、イランが同機関に対し、別の飛翔体がブシェール原発の「構内に命中した」と伝えたと明らかにした。
「イランによれば、原子力発電所そのものに損害はなく、職員にも負傷はなく、発電所の状態は正常だ」とIAEAは述べた。
IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、紛争下で核安全上のリスクを避けるため「最大限の自制」を改めて呼びかけた。
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イスラエル国防軍(IDF)は25日未明、イランの首都テヘランで「新たな一連の攻撃」を開始したと発表。テヘラン全域で「イランのテロ体制」によるインフラを標的にしていると述べた。
BBCは、市内にいる関係者から、テヘラン東部、北部、そして中心部で爆発が起きているとの報告を受けた。
一方、イスラエルの救急当局は24日、テルアヴィヴ郊外のブネイ・ブラクが攻撃され、9人が負傷したと発表した。そのうち6人が子どもだという。
救急隊はXへの投稿で、ガラスの破片で負傷した7歳の男児を救出したとも述べ、攻撃された複数の地点で捜索を続けているとした。
イスラエル軍は25日未明にも、イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したと発表。「脅威を迎撃するため、防衛システムが作動している」と述べ、住民に対し、携帯電話に送られる警報に従うよう呼びかけている。
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24日にはイスラエルによるレバノンへの攻撃が続いた。
イスラエル軍は、レバノン全域でアル・アマナ社が所有する「燃料スタンドを標的とした」一連の攻撃を完了した発表。これらが同国のシーア派組織ヒズボラに「支配されており」、その活動を支える「重要な金融インフラ」として機能していると述べている。
レバノン保健省によると、イスラエルがヒズボラへの最新の軍事行動を開始して以来、レバノンでの死者数は25日時点で1072人に増加した。24日の1039人から増加しており、過去24時間で33人が新たに死亡したことを意味する。
同省は、負傷者数も前日から90人増加し2966人となったと述べた。
25日朝にはさらに、イスラエル軍の空爆により、南部サイダ地区で少なくとも6人が死亡したと、レバノン保健省の発表を引用してレバノン国営通信社が伝えている。
一方、ペルシャ湾の島国バーレーンでは、イランのミサイルが西部の軍基地を直撃。この戦争が始まって以来の大きな攻撃を受けた。
バーレーン当局によると、ハマラ基地への攻撃で、アラブ首長国連邦(UAE)の軍事請負業者(モロッコ国籍)1人が死亡した。また、バーレーンまたはUAEの軍関係者十数人が負傷し、うち4人は重体だという。
バーレーンにはアメリカ海軍の第5艦隊が駐留しているが、同基地は戦争開始の数日前に退避し、艦船は海上に展開していた。
バーレーンは連日、夜間のドローン攻撃やミサイル攻撃にさらされているが、その大半は迎撃されている。ほかにも、石油貯蔵施設、空港、住宅アパートが攻撃を受けている。
イランはこれまでしばしば、バーレーンは失われた領土だと主張してきた。そのため、湾岸のアラブ6カ国の中で最もイランとの関係が悪いとされることもある。
一方でバーレーンには、大規模で時に不安定な動きを見せるシーア派住民がおり、その一部はイランに同情的な姿勢を示していることが知られている。