上越市で8月に大規模断水実施へ 水道水源回復のめど立たず

新潟県上越市のガス水道局は2025年7月24日記者会見し、水道水源である正善寺ダムの貯水量が減り続けていることから、来月に断水の実施が不可避だという見通しを明らかにした。市は現在、高田、直江津など約4万6500世帯約10万8000人に節水を呼び掛けており、断水が実施されれば、市民生活や経済活動への深刻な影響が予想される。

記者会見した上越市ガス水道局の幹部ら

正善寺ダムの貯水率は、節水要請を開始した7月15日時点で26.8%だったが、24日には17.3%まで減少した。節水要請後も1日約1ポイントずつ減っており、長期予報でもまとまった雨は期待できず、このペースで減少していけば8月前半にはゼロになる。市は市民に40%以上の節水を要請しているが、要請後の7月16〜23日の配水量は、要請前に比べて4.5%の減少にとどまっている。

貯水率が17.3%まで低下した正善寺ダム(2025年7月24日)

水道水源の枯渇は、少雨のほか、4月に発生した県営高田発電所の水管破断事故により、発電所の水を使っていた城山浄水場が停止し、正善寺ダムの水を使う正善寺浄水場の稼働を増やしたことによる。

緊急対応として、破断していない水管から水を放流し城山浄水場に通水するなどしているが、にごりがあり、十分な水量も得られていないという。また、水管破断箇所は急峻な山中にあり、復旧の見通しは立っていない。

今後、断水が行われた場合の対象範囲について同局は、現在節水要請が行われている範囲から、医療・福祉施設などを除いた上で、極力狭めたいとしている。

節水対象地域

同局の高橋一之ガス水道事業管理者は「このままの状態が続くと、供給の継続が困難となる極めて深刻な状況。猛暑の中、不便をかけて大変申し訳ないが、引き続き節水への協力をお願いしたい」と話した。

断水が実施されると、飲料水はもちろん、水洗トイレも使用できず、市民生活や企業の経済活動などへの深刻な影響が予想されることから、市は7月25日に中川幹太市長を本部長とする対策本部を設置する予定だ。

給水スポットを設置

上越市ガス水道局は節水対象区域の水道使用量を減らそうと2025年7月24日、節水対象区域外の公共施設に「給水スポット」を開設した。

牧区コミュニティプラザに開設された給水スポット

給水スポットは公共施設の屋外の蛇口で、節水対象区域内の市民が24時間利用できる。水を入れる容器などを持参して利用する。申し込みなどはいらない。

24日に設置されている給水スポットは次の通り。

  • 浦川原里山地域活性化センター(浦川原区飯室25番地1)
  • 牧コミュニティプラザ(牧区田島705番地10)
  • 柿崎コミュニティプラザ(柿崎区6405番地)
  • 大潟コミュニティプラザ(大潟区土底浜1081番地1)
  • ユートピアくびき希望館(頸城区百間町716番地)
  • 吉川体育館(吉川区原之町1819番地1)
  • 中郷コミュニティプラザ(中郷区二本木1959番地4)
  • 名立コミュニティプラザ(名立区名立大町200番地1)

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