阪神がCSで壮絶に散った光景には違和感…「真の日本一決戦」期待したファンも多い/寺尾で候(日刊スポーツ)

2026年10月17日、セ・クライマックスシリーズファイナル第4戦 阪神対DeNA 9回、逆転を許した工藤泰成(右)に交代をさせる藤川球児監督(Nikkan Sports News.)

<寺尾で候> 日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

【写真】土壇場で打ちのめされ…マウンドでひざをつく工藤

    ◇   ◇   ◇ やっぱり釈然としないなぁ。球団初の連覇を遂げた阪神のCSファイナルステージ敗退には後味の悪さが残った。セ・リーグを制覇したチャンピオンが壮絶に散った光景には違和感を覚えた。 土壇場で打ちのめされた工藤は泣き崩れた。逆にCSを勝ち上がったDeNAは、近くのホテルで派手にビールかけをしてかちどきを上げた。勝者と敗者のコントラストに触れて、改めて痛感したものだ。 「一体、レギュラーシーズンの143試合を戦い抜いた意義とはなんだったのだろうか」と…。 阪神はCSを突破しても、ビールも、シャンパンも用意するつもりはなかった。チームにとって、そこがターゲットではない。あくまでも打倒ソフトバンクが旗印だったからだ。 そもそも今季をけん引した森下、佐藤の2人がいっぺんにスタメンから消える事態は想像だにしなかった。あれほど就任1年目からコンディショニングを徹底した監督の藤川球児だったのに、だ。 まるで転がり落ちるかのように、ベンチの継投も後手に回った。レギュラーシーズンとかけ離れた戦いぶりは、別のチームを見ているようだった。それが短期決戦の“怖さ”だったのかもしれない。 今シーズンからCSに新方式が導入された。昨年までのCSファイナルステージは、リーグ優勝したチームに1勝のアドバンテージが与えられる6試合制で、それを含めて4勝した球団が勝者になった。 今年はファーストステージ突破の球団が「優勝チームと10ゲーム差以上」「レギュラーシーズンの勝率が5割未満」に該当した場合、優勝チームのアドバンテージを2勝に変更。最大7試合で先に5勝した球団が日本シリーズに進出することになった。 できるだけ143試合を戦い抜いた優勝の権威を保つことを考えたルール変更で、リーグ優勝したチームが尊重されるように、アドバンテージを1勝増やしたというわけだ。 この新CSの“ミソ”は、アドバンテージを与えつつ、ゲーム数も増やしていることにある。つまり優勝チームの価値観をより高めながら、興行収入が減少しないように試合数を追加しているわけだ。 拙者が知る限り、セ・パ各リーグ理事会及び実行委員会では「CS廃止」を訴えている球団は見当たらない。あくまでも「CSありき」を前提とした上での改革が話し合われてきた。 球団側はできるだけ消化試合にならないように考えた末の結果で、CSに集客を見込んだ。それなりに盛り上がるから経営サイドは「おいしいイベント」からにじみでる“蜜の味”に慣れてしまった。 セ・パ両リーグが各6チームしかないのに、3チームが日本一になる権利を得るのだから、リーグ優勝の値打ちが薄れてしまうのは当然だろう。 そもそも球界再編でパ・リーグ消滅の危機を救うため、両リーグで足並みをそろえてできたのが、CSという“商品”だった。今ではパ・リーグの1試合平均の観客動員2万9262人はセ・リーグ(3万4088人)に迫っている。 それどころか「人気のセ、実力のパ」は、どちらもパ・リーグに傾く可能性も出てきたし、当初、CSが生まれた際の目的は果たしたといえる。 やはり長いシーズンをトップで乗り切った価値は尊重されるべきだ。3連覇のソフトバンクと、連続優勝の阪神がぶつかる「真の日本一決戦」を期待したプロ野球ファンは多かった。

 シンプル・イズ・ベストだ。もっとも強いチーム同士が戦うべき。こうなればDeNAが下克上でソフトバンクを負かしたときが、CS是非論が再燃するときだろう。(敬称略)【寺尾博和】

関連記事: