雇用とインフレに関する戦略の再考が必要=FRB議長
[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は15日、ここ数年のインフレ動向や、今後数年間に供給ショックとそれに伴う価格上昇が頻繁に起こる可能性を踏まえ、現在の金融政策アプローチにおいて雇用とインフレを巡る重要要素を再検討する必要があるとの認識を示した。
2日間にわたって開催されるトーマス・ラウバッハ・リサーチ・コンファレンスでパウエル氏は「より頻繁で、潜在的により持続的な供給ショックの時期に突入している可能性がある。これは経済と中央銀行にとって難しい課題だ」と指摘した。この会議では、パンデミック(世界的な大流行)時の2020年に採用されたFRBの現在の金融政策アプローチを再検討する。
パウエル氏は「2020年以降、経済環境は大きく変化しており、今回の見直しはこうした変化に対する評価を反映するものとなる」と述べた。
5年前にFRBは政策手法を見直し、より低い失業率を容認する余地を持たせ、インフレ率の低い年を相殺するために高インフレ期を活用することを約束した。低インフレの時期は2010年から2019年にかけて頻繁に見られた。
パウエル氏は、その後急上昇したインフレと世界経済の新たな状況をにらみ、このアプローチを再考する必要があるかもしれないとした。その上で、雇用の「不足」に関する表現を再検討することが適切だと考えており、これはFRBが低失業率自体をインフレリスクの兆候と見なさないようにするための変更だと説明した。
こうした発言は、より強い雇用市場のためにリスクを負う姿勢、および低インフレ後のインフレ率上昇を容認する姿勢を掲げるなど、当初はFRBにとって大きな転換と見られていた戦略に大幅な修正が加えられる可能性を示唆している。また、FRBが将来の潜在的なインフレショックに先手を打つ計画をより明確にする戦略的アプローチへと移行しつつある可能性も示している。これは、2021年にインフレが急上昇した際のFRBの対応の遅さを踏まえ、元当局者やアナリストが求めてきたものだ。
パウエル氏は、戦略の修正は「今後数カ月以内に」行われる可能性が高いと述べた。
パウエル氏は現在の金融政策や経済見通しには焦点を当てなかったが、4月の個人消費支出(PCE)価格指数上昇率は2.2%に鈍化するとの見通しを示した。ただ、これは今後の関税による価格上昇を反映したものではない可能性が高い。
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Covers the U.S. Federal Reserve, monetary policy and the economy, a graduate of the University of Maryland and Johns Hopkins University with previous experience as a foreign correspondent, economics reporter and on the local staff of the Washington Post.