豊田自動織機、トヨタなどの買収提案受け入れ 1株1万6300円でTOB
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豊田自動織機は3日、トヨタ自動車を中心とする陣営による買収提案を受け入れると取締役会で決議したと発表した。トヨタ陣営は12月上旬にもTOB(株式公開買い付け)を実施し、豊田織機を株式非公開化。トヨタグループ間の株式持ち合いの解消を進める。電動化など業界が変革期を迎えるなか、トヨタは大規模な再編へ乗り出す。
トヨタ陣営は買収総額を4兆7000億円としている。豊田織機の純有利子負債(約1兆3000億円)の返済などを見据えると、6兆円規模の資金が必要となる。
トヨタ不動産と豊田章男トヨタ会長で100%出資する持ち株会社を設立し、傘下の特別目的会社(SPC)が豊田織機を買収する。トヨタ不は豊田章男氏が会長を務める非上場企業で、豊田織機のほかデンソーやアイシンなどグループ各社の株を保有する。
TOB価格は1株1万6300円。TOBでまずは最低42.01%の株式取得を目指す。トヨタの保有する24.59%分と合わせて議決権の3分の2以上を確保し、株主総会での特別決議により株式併合する。2026年2月以降に、市場で残りの織機株全てをスクイーズアウト(強制買い取り)して株式非公開化する。
非公開化後に豊田織機は、トヨタが保有する豊田織機株を取得する。これによって豊田織機の株主はSPCへ一本化される。
豊田織機株はトヨタ不が5.41%分、豊田通商が5.07%分、デンソーが4.92%分、アイシンが2.18%分保有し、4社はTOBに応じ、保有する全株を売却する。
持ち株会社に対し、トヨタは議決権を持たない優先株で約7000億円、トヨタ不は約1800億円、トヨタの豊田章男会長個人が10億円それぞれ出資する。SPCが三井住友銀行や三菱UFJ銀行などメガバンクから約2兆8000億円を借り入れ、買収資金に充てる。
この他、豊田織機が保有するグループ株式を売却する。トヨタ株9.14%分(3兆2000億円相当)のほか、アイシン株とデンソー株、豊田通商株を保有している。
現在の株価を下回る価格でのTOBへ他の株主が応募するかが焦点となる。TOB価格は豊田織機株の3日終値(1万8400円)を11%下回る。豊田織機の取締役会はTOBには賛同するが、株主が応募するかどうかは判断に委ねるとした。
豊田織機の買収案が浮上して以来、一定の上乗せ幅(プレミアム)を付けてのTOBへの期待が高まっており、豊田織機株は高値圏で推移していた。
豊田織機はトヨタグループ創始者の豊田佐吉氏が発明した自動織機の製造・販売のため、1926年に創業した。社内に設置された自動車部が分離し、37年にトヨタ自動車工業(現・トヨタ)が設立された。
現在の主力事業はフォークリフトで同分野では世界首位だ。売上高は25年3月期で4兆849億円。自動車事業ではトヨタと連携し、多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」の車体製造を担っているほか、電気自動車(EV)の性能を飛躍的に高める「全固体電池」の開発をトヨタと共に進めている。
株式非公開化でM&A(合併・買収)による成長投資や、電池開発など長期目線での経営がしやすくなる。ただ、巨額の融資による債務返済の負担は避けられない。SPCの負債は買収される側の企業が負うケースが多く、豊田織機は巨額の負債を負う見込みだ。返済に向けては事業の再上場や売却も選択肢になる。
自動車は構成部品が約3万点に上るとされ、トヨタは各部品の製造を担う「ケイレツ」と呼ばれる巨大な企業群を築いた。ただ車載ソフトウエアの普及など業界の競争軸が変化している。トヨタはグループ再編に着手し、激化する競争へ備える。
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