【大河ドラマ べらぼう】松前道廣役・えなりかずきさんインタビュー「射撃はグアムで自主練」「ひょうろくさんとはDNAで共通する感じ」「渡辺謙さんから“怖い”といわれ感激」

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で松前家第八代当主の松前まつまえ道廣みちひろを演じるえなりかずきさんにインタビューしました。家臣を標的に火縄銃を撃つシーンが注目されている道廣。第24回では政治的な駆け引きもはじまり、ますます目が離せない存在になっています。大河ドラマ初出演のえなりさんは、時代劇がお好きで、特に謀略シーンは演じるのも楽しいと語ってくれました。

トリッキーな役でうれしかった

――大河ドラマのオファーを受けて、いかがでしたか。

えなりさん:びっくりしましたし、うれしかったです。どんな役柄でもありがたいのですが、物語がおもしろいうえに役柄もトリッキーだったので、なおさらうれしかったです。

――家臣を的にして火縄銃を撃つ初登場シーンはインパクトがありました。怖い役の役作りはいかがでしたか?

えなりさん:台本を読んだ時点では、僕も「怖い役」と思っていたのですが、演出の大原さんから怖い人を演じようと思わないでほしいと説明されました。道廣にとって家臣を的に銃を撃とうとするのはふつうのことで、趣味のようにやっていること。映画『十三人の刺客』で稲垣吾郎さんが演じた殿様のように、ニコニコして人を殺すようなイメージで、と大原さんからお話いただき、僕も台本を読む角度を変えました。

――道廣は、なぜこのような人物になったと思われますか?

えなりさん:彼は、藩主だった父親が亡くなり、12歳で家督を継がされています。松前家は名目上、一万石とされていますが、実際に米は獲れないので、アイヌの方々と交易するなど商売で生きていくしかなく、責任者としての重圧はあったと思います。だから次第に感情が壊れたのかもしれません。

射撃はグアムで自主練

――趣味として家臣を的に銃を撃つ道廣を演じ、難しい部分はありましたか?

えなりさん:人を撃つシーンでは、「悪いことをするぞ」という気持ちが出てきて力が入ってしまい、大原さんから「もっと明るく楽しくやりましょう」と指示され、何度か撮り直しました。最終的には、「幸楽」でラーメンを運んでいたときと変わらないような表現をしたら、そのテイクが採用されました(笑)。

――火縄銃のシーンに向けて、何か準備をされましたか?

えなりさん:人生で銃を撃ったことがなかったので、グアムに行って自主的に射撃練習してきました。火縄銃と現代の銃ではだいぶ違いますが、自分はクラッカーを引くのも怖いくらいビビりなので、心構えはできました。それでも本番では小道具用の火縄銃の発射音を聞いてビクッとしてしまい、NGは出しました(笑)。

謀略シーンは楽しい

――24回では政治的な駆け引きもはじまります。

えなりさん:「抜荷」を伊藤淳史さん演じる大文字屋にけしかけるシーンは楽しかったです。物語が動くところで、道廣の尻尾をつかまれる部分ですが、その後の展開も含めて政治物語として楽しんでいただけると思います。僕自身、時代劇が好きで、特に謀略シーンは見るのも演じるのも楽しいです。また、約33年ぶりに伊藤さんとお芝居できたので、そのシーンを放送で見るのが楽しみです。

――伊藤さんとは、どんなお話をされましたか?

えなりさん33年間、お互いどのように生きてきたかと話して(笑)、連絡先も交換しました。はじめてゴルフにもご一緒させていただき、再会のよろこびを感じています。

――ひょうろくさん(松前廣年役)との共演はいかがでしたか?

えなりさん:完全にDNAで共通するものがあると感じました(笑)。こんなに違和感のない兄弟はなかなかないと自信を持っていえます(笑)。ひょうろくさんは、たたずんでいるだけで雰囲気がありお芝居になるので、勉強になりましたし衝撃でした。撮影の合間に話もしますが、お優しく柔らかい方です。でもミステリアスな部分もあり、彼の芸能人生をいろいろ聞いたりしました。

ひょうろくさん

渡辺謙さんから“怖い”といわれて…

――渡辺謙さんとの共演シーンも多くありますが、いかがでしたか?

えなりさん:僕は謙さんが出演されていた時代劇『仕掛人 藤枝梅安』が大好きだったので、ご一緒できてうれしかったです。ただ、道廣としては、田沼より自分が上だという感覚で接しないといけないので、気後れしそうになる気持ちを抑えるのが大変でした。撮影現場は美術さんの力で本当に江戸時代の雰囲気になっていたので、お芝居しているとその世界観に入り、渡辺謙さんや生田斗真さんという名前が消え、田沼意次、一橋治済と接しているように感じる瞬間もあり、役者人生として幸せな時間を過ごせて僕の宝物になりました。

――謙さんからは「ベストキャスティング」と褒められたそうですね。

えなりさん:直接お褒めの言葉をいただき、感激しました。その後、「くりぃむしちゅー」の上田晋也さんとゴルフでご一緒したとき、「謙さんが『えなりの殿様、怖いぞ~』と原田泰造さん(三浦庄司役)に話していたらしいよ」と教えてくださいました。謙さんから原田さん、上田さんと間接的に伝わってきた言葉も本当にうれしくて、ありがたかったです。

――大河ドラマに出演されて、今後の目標は?

えなりさん:視聴者としても大好きな「べらぼう」ですばらしい役をいただいたからには、今後もキャリアアップしていきたいと身を引き締めています。また大河ドラマに呼んでいただけるよう、がんばります。

えなりかずきさん 1984年生まれ。3歳でデビュー。 4歳の時「ホットドッグ」でドラマデビュー。 その後、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」に出演。 ・ドラマ: 「ブギウギ」をはじめ 「オヤジ・ロック」(藤子・F・不二雄SF短編ドラマ シーズン3) 「アイシー〜瞬間記憶捜査・柊班〜」 「Qrosの女」他 ・バラエティー: 「くりぃむクイズ ミラクル9」

「相葉◎×部」他

(ライター・田代わこ)

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