タリバン外相の会見、最前列にインドの女性記者がずらり……当初の入場拒否に強い反発
画像提供, Reuters
13日朝にインド各紙に掲載された写真は、まさにその一例だった。前日に行われたアフガニスタンのタリバン政権の外相の記者会見で、最前列の席にインドの女性記者たちがずらりと並んでいた。
インドを訪問中のアミール・カーン・ムッタキ外相は、10日にアフガニスタン大使館で記者会見を開いたが、女性の参加を認めなかったため大きな反発を受け、2回目の会見を開いたのだった。
ムッタキ外相は12日の会見で、女性が排除されたのは「意図的ではなかった」と述べた。
「12日の記者会見は急な開催で、記者のリストも短時間で決定された。提示された参加者リストは非常に限定的なものだった」と、同外相は語った。
「これは技術的な問題に近いものだった。(中略)我々の同僚が、特定の記者リストに案内を送ることを決定しただけで、それ以外の意図はなかった」
女性が従事できる仕事はますます制限されている。また、タリバン政権は女性たちに頭から足元までを覆う衣服の着用を義務づけ、移動にも制限をかけている。
2021年にアフガニスタンで復権したタリバン政権はこれまで、アフガニスタンの文化とイスラム法(シャリア)の解釈に基づいて女性の権利を尊重していると主張してきた。
しかし西側諸国の外交官らは、女性への制限が、同政権の国際的な承認獲得の妨げになっていると述べている。タリバン統治下における女性の権利の抑圧は、世界で最も厳しいものとなっている。
ムッタキ外相は9日、ロシア政府とのハイレベル協議のためにインドを訪れた。ロシアはこれまでのところ、タリバン政権を全面的に承認した唯一の国。
インドは、アフガニスタンの事実上の統治者を正式には承認していないが、外交的または非公式な関係を維持している国の一つ。カブールに小規模な代表部を置き、人道支援も送っている。
ムッタキ氏は10日、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相と会談。同外相は、インド政府が2021年のタリバン政権復帰後に閉鎖したカブールの大使館を再開する方針を発表した。
その直後に行われた記者会見には、16人ほどの男性記者が出席したが、女性記者は大使館の門前で入場を拒否された。
タリバン政権の関係者は、女性記者が招待されていなかったことを認めている。インド外務省は、アフガニスタン大使館で開催された会見なので、インドは「記者対応に関与していない」と説明した。
しかし、インド国内で起きた性差別に対し、政治家や記者らは怒りの声を上げ、政府がそれを容認したと批判した。
野党指導者のラフル・ガンジー氏は、この会見を許可したことで、インドのナレンドラ・モディ首相は、「すべての女性に対して、あなたたちは立ち向かうことのできない弱い存在だと伝えている」と非難した。
画像提供, Indian Ministry of External Affairs / Handout via Getty Images
インド編集者協会やインド女性記者団(IWPC)、インド女性メディアネットワーク(NWMI)は、女性排除を「極めて差別的だ」とする、力強い声明を発表した。
「外交施設が(領事関係に関する)ウィーン条約による保護を主張する可能性はあるが、それによってインド国内での記者アクセスにおける露骨な性差別が正当化されることはない」と編集者協会は述べた。
「(インド)外務省がこの会見を調整したか否かにかかわらず、このような差別的排除が異議なく実施されたことは極めて憂慮すべき事態だ」
NWMIは、インド政府には「女性市民の民主的権利と憲法上の自由、特に就労と生計の権利を擁護する責任がある」とし、こうした「露骨な性差別」に対して疑問を呈すべきだったと主張した。
同団体はまた、10日の会見に出席した男性記者らが女性同僚のために声を上げなかったことを批判した。「このような場面では、沈黙は性差別の常態化に加担する行為と見なされかねない」と、声明は述べている。
インド国内で怒りが広がる中、ムッタキ氏のチームは12日の会見に向けて新たな案内を送付。すべての報道関係者に開かれた「インクルーシブ(包摂的)」な会見だと説明した。
2回目の記者会見が開かれるに至った経緯は明らかになっていない。インド政府の介入は公式には確認されていないが、その可能性については一部で憶測も出ている。
この会見には多くの出席者が集まり、10日の会見で女性が排除された理由や、アフガニスタンの少女や女性の権利について、ムッタキ氏に厳しい質問が投げかけられた。
ムッタキ氏は、「学校や教育機関には1000万人の学生が在籍しており、そのうち280万人以上が女性や少女だ。マドラサ(イスラム教の学校)では、卒業まで教育が継続されている」と述べた。
また、「一定の制限は存在するが、女性の教育を宗教的にハラーム(禁忌)と宣言したことは一度もなく、次の命令が出るまで延期されているだけだ」と主張した。
会見に出席した多くの記者は、ムッタキ氏の主張に疑問を呈し、2021年以降にタリバンが少女や女性に課してきた制限を指摘した。
アフガニスタンにおける女性の権利に関する追加質問へのムッタキ氏の回答は、満足のいくものではなかったかもしれない。しかし、一部の記者が指摘したように、2回目の記者会見が開催され、同氏がジェンダーに関する問題への質問に応じたという事実自体を、進展とみなすこともできる。