スペック最強は誰だ!? サッカー日本代表、最新メンバー能力値ランキング1~10位。トップに輝いたのは…
サッカーという競技の特性上、選手の能力を数値化するのは極めて困難なことだ。それを承知の上で、スタッツなどを分析し、5項目に分類して数値化を試みた。ここでは「史上最強」と称されるサッカー日本代表最新メンバーの能力値をランキング形式で紹介する。※5項目の平均値で順位づけ。平均値が並んだ場合は5項目の中でより高い数値を残している方を上とする。(成績、市場価値は3月23日現在。『transfermarkt』を参照)
10位:南野拓実(ASモナコ/フランス)
【写真:Getty Images】
生年月日:1995年1月16日 市場価値:1500万ユーロ(約24億円) 24/25リーグ戦成績:23試合4得点3アシスト
日本代表通算成績:66試合24得点11アシスト
南野拓実は2列目がメインのポジションながら、2018年夏に発足した森保ジャパンで最も多い24ゴールを決めている。
彼には三笘薫や久保建英のようなわかりやすい個人技があるわけではない。それでも多くの得点を決めることができているのは、周りの選手との連係を得意としているからだろう。ワンツーやタイミングの良い裏抜けでビッグチャンスを演出して冷静に1対1を沈める。
こういった彼のプレースタイルと今の代表の[3-4-2-1]の2人のシャドーを配置するシステムはマッチしている。サイドに張らせてドリブルで突破することよりも、中央からコンビネーションで決定機に絡むことの方が得意だ。
82とした「攻撃力」をより際立たせているのが、スタミナを活かした前線からの持続的な「守備」での貢献度である。過去にザルツブルクやリバプールに所属していた南野は、現在所属するASモナコでもアドルフ・ヒュッター監督の下で強度の高い試合と練習をこなしており、高い「フィジカル」能力も持ち味の一つだ。
森保一監督は日本代表で「良い守備からの攻撃」をベースにチームの指揮を執っており、南野はその役割にピタリとハマっている。現政権における最多出場と最多得点を記録しているのも納得だ。
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【写真:Getty Images】
冨安健洋や谷口彰悟、町田浩樹ら日本代表の主力センターバック(CB)が相次いで離脱をしている中で、板倉滉にはディフェンスリーダーとしての役割が求められている。
「守備力」を86としたことからもわかるように完成度の高いDFで、特に188cmの身長を活かした空中戦の強さは魅力的。日本代表では、中盤から前の選手にあまり高さがないこともあり、攻守においてセットプレーでは必要不可欠な存在だ。
この高さがありながらスピードも平均以上のものがあり、カバーリングの上手さや自軍ゴール前での体を張った守備が際立っている。現状のメンバーでは板倉がいなければ、守備に大きな綻びが生まれていたかもしれない。
所属するボルシア・メンヒェングラートバッハでは、昨シーズンの終盤に中盤でも起用されており、「スキル」もCBの中では高いレベルにある。日本代表の試合でもドリブルでの効果的な持ち運びからの縦パスや裏への正確なフィードなど、ビルドアップでの貢献度も高い。冨安の長期離脱が決定している状況では絶対に欠かすことのできない選手だ。
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【写真:Getty Images】
日本代表で背番号10を背負う堂安律は、エースナンバーに相応しいプレーを続けている。
80とした「攻撃力」の部分では、得点に関与するプレーの質と量が向上しており、所属するフライブルクではリーグ戦26試合で8得点5アシストを記録。4シーズン目となったブンデスリーガではキャリアハイの数字だ。
得意としているカットインからのシュート精度が高いのに加えて、逆サイドからのクロスに対して積極的にボックス内に飛び込む姿勢が得点力アップの要因の1つ。直近の日本代表ではゴールから遠い右ウイングバック(WB)での出場が続いていることから、あまり得点に絡めていないが、周りの選手との連係が深まれば自ずと数字はついてくるはずだ。
「フィジカル」と「守備力」の成長も著しく、特に対峙した選手との1対1は彼が最も強みを出せる部分だろう。今シーズンのブンデスリーガではリーグ2位となる地上戦勝利数(140回)を記録。タックル成功数もリーグ5位となる55回を記録しており、シーズンを通して2列目で起用されている選手では最多のスタッツである。
この1対1における強さは日本代表にも反映されており、WBとして最終ラインの一角に入って守らなければいけないシーンでも後手を踏むことなく対応している。攻撃力が武器である選手に変わりないが、献身性も堂安のプレースタイルを語る上では欠かせない。
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【写真:Getty Images】
日本代表の最前線に君臨する上田綺世には多くのタスクが求められている。
彼が最も期待されているのは87とした「攻撃力」の部分だろう。裏抜けからのパンチ力のあるシュートに身体能力の高さを生かした打点の高いヘディングシュートとフィニッシュのパターンも豊富。今シーズンの所属クラブでは怪我に悩まされているためリーグ戦の出場は13試合に留まっているが、ピッチに立てば123分に1ゴールというハイペースでネットを揺らしている。
先日行われたバーレーン代表のように、アジアレベルの相手であれば「スキル」と「フィジカル」を生かしたポストプレーで対峙したDFを圧倒する能力を持っている。先制点の場面で披露したボールを収めてからのターンはその代表例で、ボックスの外でも仕事をすることができる万能なストライカーだ。
しかし、昨年10月に行われたオーストリア代表戦のような欧州でプレーする2m級のCB相手では露骨に苦戦することも。こういったケースにおけるポジショニングや味方選手を活かす動きなどの「IQ」には伸びしろを残している。
実際に直近の日本代表の試合ではあまりシュートを打てていない。彼が起点となる攻撃が機能しているためチームとしての決定力不足は感じられないが、もう少しフィニッシュの局面に関われるのが理想だろう。
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【写真:Getty Images】
今季の開幕直前に中足骨骨折の大怪我を負ってしまった伊藤洋輝は、バイエルン・ミュンヘンでのデビューが先延ばしとなり、今年2月にシーズン初出場を飾った。
昨年6月以来の日本代表招集となった左利きのセンターバック(CB)の最大の特長は、「フィジカル」を活かした「守備」だろう。身長188cmとサイズがありながら十分なスピードがあり、守備範囲の広さとカバーリングが魅力的。ストッパーとしての能力だけでなく、左サイドバック(SB)としてもプレーできるダイナミックさを兼ね備えている。
その上で「スキル」の高さも魅力的だ。レフティーのCBならではの角度から出るパスの精度が高く、ロングフィードも正確。バーレーン代表戦は怪我明けということもあってコンディションが万全ではなかったが、それでも前線へのフィードのフィーリングは悪くなかった。
伸びしろがあるとすれば「IQ」の部分だろうか。冨安健洋のように周りを見ながら気が利くポジションを取れる器用なタイプではなく、バイエルンのようにしっかりとした枠組みがある中での方が判断に迷いがないように見える。最終ラインの選手に対する決まりごとの少なさが気になる日本代表でのパフォーマンスが上がらないのは、そういった背景もあるだろう。
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日本代表で主将を務める遠藤航は、所属するリバプールでは先発としての出場機会に恵まれていない。その中でも代表戦においては毎試合ベストに近いパフォーマンスを披露している。
今回の招集メンバーで最も高い89とした「守備力」は、遠藤の存在意義そのものだ。守備範囲が限定された状況で相手とマッチアップすることができれば、高い確率でボールを奪える球際の強さは彼の最大の武器。ブンデスリーガとプレミアリーグで培われた「フィジカル」の強さは、アジアレベルでは敵なしに近い。
この球際の強さがある上に危機察知能力の高さも彼の特長だ。常に周りを見ながら危ないエリアを先回りして埋めるプレーが上手く、判断で後手を踏むことは稀である。
「攻撃力」や「スキル」も平均以上のものがあり、持ち前のボール奪取能力でマイボールにしてから素早く狭いエリアに縦パスを通して攻撃の起点になることも多い。ただ、相手の重心の逆を突くターンで相手のプレスをはがすことが求められるリバプールの高い水準においては「スキル」が足りていないと判断されている可能性が高く、遠藤が先発出場しない理由だと推測される。
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守田英正は日本代表におけるチームの“心臓“だ。中盤で攻守において重要な役割を担っている。
ベースとして止める、蹴るの「スキル」が高く、中盤の狭いエリアでもボールをコントロールして味方選手に散らす。怪我明けの影響もあってかバーレーン代表戦では“らしくない”ロストもあったが、コンディションが万全であればその精度はピカイチだ。
この能力をさらに際立たせているのが「IQ」の高さで、チームトップの94とした。相手と味方を見ながらのポジショニングが上手く、低い位置ではサポートに入るのが上手い。ボールを保持しながら前進する上では欠かせない選手で、ピッチ上のあらゆる場所で気を利かせている。
サイドにボールが渡れば3列目からの飛び出しで決定機にも絡むなど、相手チームからすると捕まえにくい動きで翻弄する。この攻守における自在なポジショニングは守田の最大の魅力だろう。
ボランチでコンビを組む守備に持ち味の遠藤航との補完性も抜群で、来年に控える北中米ワールドカップ(W杯)でも彼らがチームの中心になることが予想される。