アルトマン氏、マスク氏はオープンAIの「進展遅らせようとしている」
対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は11日、資産家イーロン・マスク氏が提示した974億ドル(約14兆8400億円)での同社買収案を改めて退け、マスク氏は競争上の優位性を得ようとしているだけだと非難した。
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アルトマン氏はパリで開催のAIサミット参加に合わせて、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、「マスク氏はわれわれの進展を遅らせようとしているだけだろう。彼は明らかに競合相手だ」と発言。「より良い製品を作ることで競争してくれればいいのだが、多くの戦術、多くの訴訟、他にもあらゆるクレイジーなことがこれまでにあって、今はこれだ」と話した。
マスク氏とアルトマン氏はともにオープンAIの共同創業者だが、会社の方向性をめぐって意見が対立し、最終的にマスク氏が同社を去った。マスク氏は現在、オープンAIが創業時の使命から逸脱し、人類の進歩よりも利益を優先しているとして同社を提訴している。マスク氏はまた、モデル開発においてオープンAIと直接競合する自身のAI企業「xAI」を設立した。
アルトマン氏はこの日のインタビューで、「マスク氏の人生は全て、自信のなさに由来しているのだろう。気の毒だ」と述べ、マスク氏について「幸せな人」だとは思わないと付け加えた。
アルトマン氏はマスク氏による買収の取り組みに公然と反発しているが、この買収案をどの程度真剣に受け止めるべきかについては、オープンAIの取締役会がある程度の発言権を持つとみられる。
オープンAIの取締役会は同社の非営利部門を監督し、同部門は営利事業を管理する。しかし、アルトマン氏とオープンAI前取締役会との劇的な対立の後、2023年に会長に就任した米セールスフォース元共同CEOのブレット・テイラー氏は、マスク氏と険悪な関係にある。マスク氏がツイッターの買収に乗り出し、いったんは撤回するなど同社を振り回していた当時、テイラー氏はツイッターの会長を務めていた。
アルトマン氏はインタビューで、オープンAIの取締役会は同社の将来についてあらゆる選択肢を検討していると付け加えた。しかし、AI事業の売却は選択肢にないと説明。
「オープンAIは売り物ではない」とし、「オープンAIの使命を売りに出すことはない」とアルトマン氏は続けた。
原題:OpenAI’s Altman Says Musk ‘Probably Just Trying to Slow Us Down’(抜粋)