シャープが「AQUOS」を中高価格帯へシフトする理由 メモリ高騰が直撃するエントリースマホの限界
AQUOSシリーズを展開するシャープは、6月9日に事業説明会を開催。スマホの性能別構成比を、中高価格帯にシフトしていく方針を明かした。2025年度は「AQUOS wish」シリーズの割合が6割を占め、「AQUOS sense」や「AQUOS R」などは4割にとどまる。この割合を逆転させ、2026年度は7割をAQUOS sense以上の端末にしていく目標を掲げた。 【画像】シャープが予告している新機種 シャープが中高価格帯へのシフトを図る背景には、メモリやストレージ価格の高騰がある。同社は親会社の鴻海を通じて部材を調達しており、グローバルのスケールメリットは生かせる立場だが、それでもコストの上昇は避けられなかった。実際、シャープ以外にも中高価格帯へのシフトを模索するメーカーは多く、勢力図に変化が生じる可能性もありそうだ。
「スマホは、ハイエンドやミドルレンジの構成比率を40%から70%に上げて、収益性を改善していきたい」――こう語ったのは、シャープでスマホやPCなどの事業を統括する執行役員Co-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長の小林繁氏だ。シャープは現在、エントリーモデルのAQUOS wishと、ミドルレンジのAQUOS sense、ハイエンドのAQUOS Rシリーズという3層構成でラインアップを構築している。 この中で過半数を占めるのが、エントリーモデルのAQUOS wishシリーズだ。最新モデルは、2025年6月に発売した「AQUOS wish5」。販路によって価格は異なるが、おおむね3万円台半ばで販売されており、シャープのシェアを支えている。もともとAQUOS senseがこの価格帯を担っていたが、世代を経るにつれて徐々に価格が上がっていった結果、その下を担うエントリーモデルとしてAQUOS wishが導入された経緯がある。 ただ、最近では、他社に押され気味だったのも事実だ。小林氏も「AQUOSについては直近で国内のマーケットシェアが若干低下気味」としつつ、「海外メーカーの販売構成がたぶんに影響している」と話す。実際、調査会社MM総研の「25年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」を見ると、シャープ製スマホの出荷台数は前年から32.4%減少し、シェア4位に転落。Googleやサムスン電子の後塵を拝している。 2024年度は2位、Androidスマホの中ではトップシェアだったシャープだが、ソフトバンクと楽天モバイルに販路を拡大したサムスン電子や、Pixel aシリーズが好調のGoogleに押され気味になっている。小林氏も「いい状況かといえば、いい状況ではない」と率直にその状況を語る。Googleやサムスン電子はミドルレンジ以上のモデルに強いが、ここへの対抗としてハイエンドやミドルレンジを強化する必要があるといえる。 特に、中価格帯で購入しやすい「AQUOS senseは顧客満足度が高いので、きっちり維持をしていきたい」(同)という。同社がミドルレンジ以上に注力する理由は、もう1つある。それがメモリやストレージの高騰だ。AIサーバなどの需要が急増したことを受け、メモリなどが品薄になり、調達価格が跳ね上がっている。調達、開発から市場投入までにはタイムラグがあるが、いよいよその影響が出始めているというわけだ。 小林氏も「円安の定着やメモリ、SSDの高騰で市場環境は厳しくなっている」と話す。この影響が直撃しやすいのが、エントリーモデルを中心とした価格の安い端末だ。シャープがミドルレンジ以上へのシフトを図る背景には、価格が上がったエントリーモデルがさらに売れづらくなる見通しもある。