「自衛隊の訓練は人殺しの訓練」共産党滋賀県議が発言し謝罪 繰り返される「侮辱」表現
滋賀県の共産党県議が3月の県議会で、陸上自衛隊の訓練について「人殺しの訓練」と繰り返し、県自衛隊家族会の抗議を受けて県議会で謝罪したことが21日、分かった。共産党県議団は「弁明の余地のない不適切な発言」と産経新聞の取材に釈明した。「自衛隊と憲法9条は両立し得ない」(志位和夫委員長)との立場を取る共産党。共産党議員による自衛隊を侮辱する発言は繰り返されている。
「人殺しのための訓練」
問題の発言は3月19日の県議会本会議で、共産党の中山和行県議が、陸自饗庭野(あいばの)演習場(同県高島市)で場外着弾事故が繰り返されていると問題視し、実弾射撃訓練の中止を訴える中で飛び出した。
滋賀県議会庁舎中山氏は、昨年7月に同演習場で行われた日米共同訓練について「陸上自衛隊と米陸軍の攻撃ヘリコプターによる空中実弾射撃訓練が初めて行われ、まさに人殺しの訓練だった」と指摘。
「世界の人々が求めるのは平和な社会です。人が殺し合い、殺されることは望まず、許されません」と述べた上で、「人殺しのための訓練、実弾射撃訓練を止めることは住民の命、自衛隊員の命を守ることにもつながる」と持論を語った。
抗議受けて謝罪
「人殺しの訓練」発言に対して、県自衛隊家族会は今月15日、県議会議長に抗議の申し入れ書を提出した。18日の県議会議会運営委員会で、共産党県議団(2人)の節木三千代代表は「不適切な発言だった」と釈明。議長に中山氏と2人で謝罪した。
節木氏は産経新聞の取材に「『人殺し』の部分は不適切な言葉だった。会派としてお詫びを申し上げた。家族会の皆さんが気分を害される(のも当然だ)」と述べ、家族会への今後の対応については「会派で相談する」と語った。
「人を殺す予算」「国民を殺す訓練」
共産党を巡り、同様の表現は過去から続いている。
古くは昭和44年7月、岩間正男参院議員が参院本会議で「国民の税金でまかなわれている自衛隊が、こともあろうに国民を殺す訓練をしている」と発言。55年11月の衆院内閣委員会では中島武敏衆院議員が自衛隊について「不要不急部門で膨大な過剰定員が温存され、行政の無駄がある」と述べた。
防衛費を「人を殺すための予算」と表現し、謝罪した共産党の藤野保史政策委員長(当時、左)=平成28年6月平成28年6月には、当時の藤野保史政策委員長がNHK番組で防衛予算について「人を殺すための予算」と言い放ち、事実上更迭された。27年10月には奈良県が誘致する陸自駐屯地について、共産党奈良県会議員団などでつくる「軍事基地のない平和な奈良県を守る会」がチラシに「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」と記し、問題視された。
「自衛官の尊厳がかかっている」
自民党の有村治子参院議員は今月19日、今回の奈良県議の発言についてX(旧ツイッター)で「議会で厳正な対処を求めているのは当然のこと」と指摘し「過酷な訓練で殉職も出しながら危険を顧みず、国家国民を守る最前線に立つ自衛官の尊厳がかかっている」と強調した。(奥原慎平)