「実質的には第三次世界大戦」 識者に聞くイラン・レバノン情勢
米国とイランによる戦闘終結のための交渉が続く中、レバノンではイランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの衝突が続いている。レバノンとイスラエルは米国の仲介で4月中旬に停戦合意を結んだものの、停戦は形骸化しつつある。今後の中東情勢はどうなるのか。レバノンの政治評論家、サルキース・アブジード氏に聞いた。【聞き手・古川幸奈】
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イラン崩壊への危機感
――ヒズボラは米国・イスラエルによるイランへの先制攻撃を受け、3月2日にイスラエルへの攻撃で参戦しました。どのような思惑があるのでしょうか。
◆イランとヒズボラは同じシーア派であり、ともに米国やイスラエルと対抗する一つの戦線として機能してきた。ヒズボラはイランから軍事・財政の両面で多くの支援を受けており、イランを支援する義務を感じている。もしイランの体制が崩壊すれば、次は自分たちが標的になるという危機感もあった。
――2023年10月のパレスチナ自治区ガザ地区の戦闘に絡み、ヒズボラはイスラエルから壊滅的な打撃を受けました。
◆ヒズボラは指導者のナスララ師を含む多くの幹部や戦闘員を失い、弱体化した。24年12月にはイランが支援してきたシリアのアサド政権が崩壊し、イランからイラク、シリア経由で調達していた武器や軍事装備の補給路が断たれた。
イランは多額の資金提供や幹部育成のための訓練、武器の国内製造に向けた技術支援を通じ、ヒズボラの組織再編を図ったと言われている。イランはヒズボラが拠点とするレバノン南部の社会基盤の再整備も支援した。ヒズボラへの国民の支持を回復させるためだ。
生まれ変わったヒズボラ
――今年3月に攻撃を再開した時点で、ヒズボラの軍事力はどの程度回復していたのでしょうか。
◆正確には誰にも分からない。ただ、ヒズボラが戦略を大きく転換させたのは確かだ。23年当時、ヒズボラは約10万人の戦闘員を擁する「軍隊」に成長していた。一方で制空権を持っておらず、イスラエル軍に狙われやすい状況だった。
現在は、ヒズボラは特にレバノン南部…