【日本市況】株反落、自動車関税でリスク回避-円上昇、40年入札堅調
27日の日本市場は日経平均株価が反落。トランプ米大統領による自動車関税の発表を受けてリスク回避の動きが広がった。円相場は上昇した。
トランプ政権は米国外で生産される全ての自動車を対象に25%の関税を課す。発動は4月2日で、3日から徴収を開始する。
アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは、米関税は日本車だけの問題ではないとし、米国の消費は米経済、ひいては世界経済全体に大きな影響を与えるという点でより懸念されていると話した。
債券は40年国債入札が堅調な結果となり、超長期ゾーンが買われた。半面、日本銀行の利上げ観測が根強く、中長期債や先物は上値が重かった。新発10年債利回りは1.59%、新発5年債利回りは1.185%と、いずれも2008年10月以来の高水準を更新した。
国内株式・為替・債券相場の動き-午後3時30分過ぎ- 日経平均株価の終値は前日比0.6%安の3万7799円97銭
- 東証株価指数(TOPIX)は0.1%高の2815.47
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.2%高の150円30銭
- 長期国債先物6月物の終値は前日比横ばいの137円39銭
- 新発10年債利回りは0.5ベーシスポイント(bp)高い1.585%
- 新発40年債利回りは7bp低い2.865%
株式
日経平均は3営業日ぶりに下落。トランプ大統領による自動車関税の発表を受け、トヨタ自動車をはじめ関連銘柄が売られた。
半導体関連株や電線株も下落した。中国政府による厳格規制の可能性から米国で関連株が下落したことや、米マイクロソフトが米欧のデータセンタープロジェクトから撤退したとの指摘を嫌気し、売りが広がった。
一方、TOPIXは上昇に転じた。千葉銀行と千葉興業銀行が経営統合を含めた選択肢を模索していると発表したことなどを受けて、業界再編への期待から地方銀行株が買われた。加えて、引けにかけて配当の再投資が相場を押し上げた可能性がある。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「トランプ大統領の強硬姿勢を受けて、今後は来期業績がどうなるのかを探り合う展開になるだろう」と話し、「さらに株価に悲観になるというより、当面は4月2日の相互関税を含めて業績への影響度を測るために投資家は様子見になりやすい」と続けた。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=150円ちょうど付近まで上昇。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、自動車関税の発表でユーロやポンドが売られ全般的にドルが買われた一方、ドル・円はリスクオフの円買いでドル安・円高に振れたと述べた。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、リスクオフの円買いの流れで、ドル・円は一時的に150円割れもあり得ると指摘。4月2日の相互関税で追加の材料が出てくる可能性があり、ドル・円の重しになるとみている。
債券
債券相場は長めの超長期債が上昇。40年国債入札が堅調な結果となり、買いが強まった。米自動車関税の世界経済への影響を懸念したリスク回避の流れも相場を支えた。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、40年債入札は強い結果と指摘。同債入札史上で最も高い利回りと、来年度の発行減額による需給改善も期待され、「積極的に買った投資家がいたことはうかがえる」と述べた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、「年度末に関係なく動ける海外投資家の買いがあった可能性がある」とし、入札結果を好感して30年債や40年債に買い戻しが強まったと指摘した。一方、中長期債は日銀の利上げ観測が重しになっているとし、「自動車関税は日銀にとって逆風だが、来週の関税発動に向けて具体的な影響を見極めていく必要がある」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.880% 1.185% 1.585% 2.295% 2.580% 2.865% 前日比 横ばい +0.5bp +0.5bp +0.5bp ‐2.0bp ‐7.0bpこの記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。