NY市場サマリー(16日)=ドル・利回り上昇、S&P・ナスダック連日最高値
<為替> ドルが主要通貨に対して上昇した。米イラン和平合意の可能性を巡るニュースに注目が集まる中、テクニカル要因による買い戻しで最近の下落の一部を取り戻した。
イランとの紛争についてトランプ大統領が「もうすぐ終わるだろう」と楽観的な見方を示す中、イラン政府高官は16日、同国と米国はパキスタンの仲介の下で合意に向けて一定の進展があったものの、イランの核開発計画などを巡って大きな隔たりが残っているとの認識を示した。こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンとの10日間の一時停戦に合意したと発表した。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ロンドン)の市場戦略グローバル責任者、エリアス・ハダッド氏は「ドルは若干の安心感から反発しているものの、今後数カ月間の景気循環的な見通しは依然として中立的だ」と指摘。「米・イラン紛争の外交的な出口を巡る期待があり、それが金融市場のリスクセンチメントの回復を依然として支えている」と述べた。その上で、この日のドルの上昇は限定的なものにとどまる可能性が高いとの見方を示した。
主要通貨に対するドル指数は取引序盤で一時、2月終盤以来の安値を付けたものの、0.2%高の98.19で取引を終え、1日としては2週間ぶりの上昇幅となる見通しとなった。ユーロは対ドルで7週間ぶりの高値となる1.1823ドルから反落し、終盤では0.1%安の1.1782ドル。
ドル/円は0.2%高の159.21円となった。片山さつき財務大臣は15日、ワシントンで行ったベセント米財務長官との会談後、今まで以上に日米間で緊密な連絡を取ることで一致したと語った。
英ポンドは対ドルで0.2%安の1.3534ドル。一時、2月中盤以来の安値を付けたものの、2月の英国内総生産(GDP)が前月比で2024年1月以来最大の伸びとなったことを受け、持ち直した。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが上昇した。原油価格の上昇がインフレ懸念を強めた。トレーダーや連邦準備理事会(FRB)の政策担当者は、高止まりする物価上昇と景気減速という相反するリスクへの対応に追われている。
TDセキュリティーズで米国金利戦略責任者を務めるゲンナディ・ゴールドバーグ氏は「市場はインフレと経済成長のどちらが重要なのか、そしてFRBが次に何をするのかを見極めようとしている。FRBが当面の間、大きな動きを見せないのは十分に正当化されるだろう」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物取引のトレーダーは現在、年末までに25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる確率を50%未満と織り込んでいる。
2年債利回りは1.2bp上昇し3.778%となった。3月27日に9カ月ぶりの高水準となる4.027%を記録していたが、その後低下している。指標となる10年債利回りは3bp上昇し4.309%となった。3月27日には8カ月ぶりの高水準となる4.484%を付けていた。2年債と10年債の利回り格差は52.9bpだった。
トランプ米大統領はこの日、レバノンとイスラエルが10 日間の停戦に合意したと発表したほか、米国とイランの次回の会談は週末に行われる可能性があると述べた。これを受けて市場では、イラン戦争の終結が近づいているとの楽観論が強まった。
トレーダーたちはまた、トランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏が、4月21日に予定されている承認公聴会で上院の承認を得られるかどうかにも注目している。
ウェルズ・ファーゴのアナリストらは、このイベントを巡って市場の変動が激化する可能性があると警告。「オプション市場は、ウォーシュ氏の公聴会を巡る潜在的な動きを過小評価している。ウォーシュ氏の公聴会での発言は、彼が緩和派であるという一般的な見方を容易に覆す可能性がある」とした。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場は上昇し、S&P総合500種とナスダック総合は連日で、終値での最高値を更新した。イスラエルとレバノンが10日間の停戦で合意し、トランプ米大統領が週末にイランとの再協議が行われる可能性を示唆したことを受け、中東情勢の最悪期は過ぎ去ったとの楽観的な見方が広がった。
ただ、トランプ氏がイスラエルとレバノンの停戦を発表した後も荒い値動きとなった。トランプ氏はまた、イランが20年超にわたって核兵器を保有しないと申し出たと記者団に語った。これに先立ち、ブルームバーグは湾岸諸国と欧州の当局者の話として、米国がイランとの合意に達するには約6カ月を要するとの見方を伝えていた。
ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は「市場は、より前向きな見出しと、やや中立的な見出しの間で揺れ動いている」と述べ、この1カ月半、「取引は全てイランとの戦争を巡るものだった」と指摘した。
また、パー・スターリング・キャピタル・マネジメントのディレクター、ロバート・フィップス氏は、この日発表された経済指標がまちまちだったと指摘した。最新の新規失業保険週間申請件数は予想以上に減少し、労働市場が安定を維持していることを示唆したものの、イラン紛争が経済に暗い影を落とす中、企業は人員増加に慎重な姿勢を示している。
ナスダックとS&P500は取引時間中にも最高値を更新した。ナスダックの上昇は12営業日連続で、世界的な金融危機後の2009年7月以来最長の連騰記録となった。
米国株式市場:
<金先物> 金先物の清算値(終値に相当)は前日比0.3%安の1オンス=4808.30ドルだった。
金相場は2月下旬の米国とイスラエルによるイランへの攻撃後、インフレ高進や市場の流動性低下への懸念から3月に下落していた。その後、米国とイランの和平実現への期待からエネルギー価格の低下や利上げ観測の後退が見込まれ、相場は持ち直している。両国は週末に中断した和平協議を再開する見通し。
ハイリッジ・フューチャーズの金属取引ディレクター、デービッド・メガー氏は、米イラン間の緊張緩和や戦闘終結が実現すれば、米連邦準備理事会(FRB)の利下げの可能性が高まり、貴金属相場の支援材料になり得ると述べた。現在、市場では年内の利下げ確率は32%と見込まれている。
NY貴金属:
<米原油先物>
米国時間の原油先物は4%超上昇した。近く開催される見通しの米・イラン間の和平協議について、中東のエネルギー供給の混乱を解決できるか懐疑的な見方が広がった。清算値は、北海ブレント先物が4.46ドル(4.7%)高の1バレル=99.39ドル。米WTI先物は3.40ドル(3.7%)高の94.69ドルだった。
INGのアナリストは、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の閉鎖により、1日あたり約1300万バレルの石油の流れが阻害されていると推定している。同海域の航行が事実上遮断された状態が続く限り、世界中の石油消費国は在庫を消費し続け、市場は逼迫していくことになる。
トランプ米大統領は16日、米国とイランの次回協議が週末に行われる可能性があると述べた。イランとの合意がパキスタンの首都イスラマバードで成立し、署名されることになれば、自身が現地入りする可能性も示した。
さらにトランプ氏は、イスラエルとレバノンの指導者が、米東部時間午後5時(日本時間17日午前6時)から10日間の停戦を開始することで合意したとも発表した。ただ、市場はこれらの発言にほとんど反応しなかった。
NYMEXエネルギー:
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