見かけ倒しじゃない! 2025年後半に復活するホンダ「プレリュード」は走りもスゴい!! すべりやすい雪上で実感した新型クーペの「懐の深さ」とは?
2025年後半に、ほぼ四半世紀ぶりの復活を予定しているホンダの2ドアスペシャルティクーペ「プレリュード」。
2024年12月にホンダ栃木プルービンググラウンドの高速周回路とワインディングコースで味見できたそのプロトタイプを、再度テストする機会に恵まれました。次なる舞台はなんと雪上。ホンダの鷹栖プルービンググランドです。
この新しい「プレリュード」は、新兵器“ホンダS+シフト(Honda S+Shift)”を搭載したe:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)、つまり2モーターハイブリッドシステムを「シビック タイプR」をベースにしたシャシーに積む前輪駆動車です。
最初は「4WDでもないのにあえて雪上で?」と感じたのですが、試乗後に思ったのは、まさにそれはホンダ開発陣の自信の表れだったんだな、ということでした。そう、雪上での「プレリュード」プロトタイプは、最高にファンな走りを披露してくれたのです。
ついに擬装が外された「プレリュード」。赤のボディカラーに個人的には3代目辺りを思い出したのですが、そのフォルムはつやめかしくも引き締まったスポーティさもあり、なかなか悪くないなと感じられました。
室内に入ると、ますますその思いを強くします。ルーフを絞り込んだデザインゆえに、室内はほどよくタイト。シートもしっかり体をホールドする形状です。
そして後方を振り返れば、まさに往年の「CR-X」にも通じる“ワンマイルシート”と呼びたくなるような小さなリアシートが。コンパクトカーにミニバンにSUVと、最近もてはやされるのはスペースユーティリティ重視のクルマばかりの中、あえてこの潔い空間設計のクルマを出してくる姿勢に、筆者(島下泰久)はうれしくなってしまいました。
さて、この「プレリュード」、同じタイミングで次世代e:HEVが発表されたことなどもあって情報が錯綜している感がありますが、そのパワートレインは現行「シビック」が積むe:HEVとほぼ同様のもので、これに“ホンダS+シフト”を組み合わせたものです。
そしてシャシーは、前述のとおりフロントにデュアルアクシスストラット式サスペンションを用いた「シビック タイプR」をベースに、ホイールベースを約130mm切り詰めたものとなっています。
「プレリュード」の走行モードには、デフォルトとしてまさしくそのキャラクターを体現した「GT」が設定されており、その上でより快適志向の「COMFORT」、走りを重視した「SPORT」を選択することができます。
また、“ホンダS+シフト”はこれらとは別個にオン/オフが可能。つまり幅広い走りの味つけを選んで楽しむことが可能です。
●e:HEVと“ホンダS+シフト”が没頭できる走りを具現
走り出して、思わずうならされたのが、シャシーの優れたコントロール性でした。
まず何よりステリングフィールが素晴らしい! デュアルアクシスストラットの恩恵でフィードバックがしっかりとしていて、操舵感はとても精緻な印象。ミリ単位どころか、親指の腹にかける圧の出し入れにさえも応えてくれるような解像度の高い操舵感は、時間が経つにつれて表面の雪が溶け、下にあった氷盤が顔をのぞかせてくるような難しいコンディション下で、とても助けになってくれました。
4輪の接地感も、率直にいって期待以上。トラクションは十分にあり、そして容易にリアが腰砕けになってしまうようなことがないので、それを自信にステアリングを切り込んでいくと、クルマはスッと軽やかに向きが変わります。これは短縮されたホイールベース、そして低い重心のおかげでしょう。それでも決してスタビリティに不満を覚えることはなく、安心して楽しむことができたのでした。
正直、ドライ路面では軽快で楽しい一方、ちょっとピーキーかも? と思わせるところもあったのですが、それはタイヤ選択も一因かもしれません。スタッドレスタイヤと雪の路面では、操る愉しさを存分に満喫できました。
肝心のe:HEVの力感、そしてレスポンスも、一体感ある走りにつながっています。爽快な吹け上がり、ASC(アクティブサウンドコントロール)の働きによって室内に響くサウンドの心地よさに、思わず右足に力が入ります。
実際には、駆動は完全に電気モーターでおこなわれていて、エンジンは発電に徹しているにも関わらず、まるでDCT(デュアルクラッチ式トランスミッション)を組み合わせた自然吸気エンジンのように回転を上下させ、変速感をもたらすのは、もしかすると中途半端な出来だったらギミックに思えたかもしれません。ですが、このe:HEVと“ホンダS+シフト”の組み合わせは、まるで本物のよう。走りに没頭してしまいます。
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【画像】「えっ!…」2025年に待望の復活! これが雪上でファンな走りを披露したホンダ新型「プレリュード」です(30枚以上)
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