キャリアのAndroidスマホが「ストレージ128GB」に固定されがちな理由(ITmedia Mobile)
しかし、今のユーザーにとって128GBの容量は必ずしも最適解ではない。6万~7万円を支払う機種に対して「256GBが選べればよかった」「動画撮影やゲーム用には128GBでは足りない」「欲しい色が大容量モデルに設定されていない」といった意見が出ることもある。 実際、ミッドレンジでも256GBの機種はモトローラやXiaomiなどのメーカーから登場しており、XiaomiのPOCOのように5万円台で512GBを選択できる例もある。 そのような状況にもかかわらず、キャリアで容量の選択肢はほぼ増えない。その理由は、SKU(在庫管理の単位)を増やすことが、キャリアにとって最大のリスクになるからだ。 キャリアの主軸はあくまで回線契約であり、端末販売は在庫を抱えた瞬間に赤字リスクが生まれる。キャリアでGalaxyの大容量モデルをオンライン限定としているのはその典型で、店頭在庫を持たないための施策となる。 例えば、容量や色を増やすと、同じ機種でも多くのSKUを抱えることになる。例えば以下のパターンの場合、ストレージ容量やカラーごとに8つの種類が存在することになる。 ・128GB:白、黒、青 ・256GB:白、黒、青 ・512GB:白、黒 このように、複数のパターンを用意すると、同じ機種でも複数の在庫を抱える必要がある。すると当然、売れない構成が残ることが考えられる。キャリアのスマホに奇抜なカラーが少ない理由もこのような「偏り」を極力避けるためであり、ブラックやホワイト、グレーなどの無難な色が好まれる傾向にある。 そして、総務省の端末値引き規制の上限金額の設定もあり、以前のように大きな値引きを入れたり、定価を引き下げて売ったりすることもできない。売れない構成を抱えても値引きができないことも、キャリアが複数ストレージを採用したくない背景と考える。 SKUが増えると、モックなどの店頭販促品の準備の他、店頭スタッフへの指導、在庫管理をはじめ、店舗での負担が増えることにもつながる。 ストレージ容量が複数ある機種なら、構成ごとに価格も変わり、それに応じて毎月支払う金額や適用できる割引が変わってくることになる。この情報を新機種が出るたび、端末の価格改訂があるたびに店頭スタッフに周知していくのはかなり大変だ。 128GBの単一構成なら、この手間はかなり削減される。販促品もオンライン専売構成分は店頭には不要となるため、店舗コストや周知コストの削減になる。 一方、iPhoneは初期から複数のストレージを設けるスタイルを貫いており、キャリア側もiPhoneだけは別扱いで対応している。iPhoneに関しては、既存のキャリア向けAndroidスマホと販売構造が根本的に異なるわけだ。 PixelやGalaxyのハイエンドモデルは、一部機種がキャリアでも複数のストレージを選べるようになったが、iPhoneほど「店頭でも買える」状況は至っていない。このあたりは、在庫リスクやキャリアの方針による差があるものとみられる。 それでも、iPhone Proシリーズの1TBといった大容量モデル、Pixel Foldなどの高額な端末は、リスクから店頭に在庫は置かず、取り寄せ対応を取る例も珍しくない。