米下院、トランプ減税法案の採決延期 支出削減巡り共和党内で異議

 4月9日、与党共和党が多数派を占める米議会下院は、トランプ米大統領の減税政策を盛り込んだ法案の採決を延期した。写真は米議会議事堂。ワシントンで4日撮影(2025年 ロイター/Leah Millis)

[ワシントン 9日 ロイター] - 与党共和党が多数派を占める米議会下院は9日、トランプ米大統領の減税政策を盛り込んだ法案の採決を延期した。党内の一部議員から、支出削減が不十分で財政赤字の大幅拡大につながるとの懸念が示されたため。

ジョンソン下院議長は記者団に対し、下院が10日に再度採決を試みることを期待すると述べたが、採決が来週に持ち越される可能性もあるとの見方を示した。「全ては順調に進んでいる」と述べ、党内に不和が生じているとの懸念は退けた。

法案への賛成を留保したロイド・スマッカー議員(共和党)は記者団に、上院を通過した予算案に修正を加え、支出削減規模を2兆ドルに近づける可能性について議論が行われていると説明した。

下院で修正法案が可決された場合、法案は上院に差し戻され、最終的な可決までの手続きが長引く可能性がある。

共和党の保守強硬派は、上院可決案の支出削減は全く不十分だと憤慨しており、9日は終日、水面下で論争が繰り広げられた。下院保守派は10年間で2兆ドルの連邦支出削減を要求しているが、上院ではこの額が拒否された。

トランプ大統領はソーシャルメディアに「下院共和党は今すぐ減税法案を通過させる義務がある!わが国は好況になるだろう!!!」と書き込んだ。

一方、下院では穏健派の共和党議員から、医療およびエネルギー関連プログラムが8800億ドル削られる見通しであることへの懸念も示された。複数の共和党議員は、低所得層向け公的医療保険「メディケイド」の大幅削減につながる法案には投票しないと述べている。

議会が現在の初期段階で法案を通過させられなければ、トランプ氏の目玉政策にとって痛手となる。上下両院は11日から2週間の休会を控えている。

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