フジテレビのCM差し替え問題で注目「ACジャパン」とは?料金はどうなる?

フジテレビでのCM差し替えにより多数放映されているACジャパンのCM「決めつけ刑事(デカ)」(企画制作:BBDO J WEST)。嶋田久作らが出演。

日本生命、トヨタ自動車などを皮切りに始まったフジテレビのCM差し止め。出稿していた広告主企業70社以上がACジャパンのCMに差し替えするなどその動きが広がっている。

近年、東日本大震災など災害時のほか、各企業や出演タレントの不祥事などによる自粛の例はあったが、テレビ局側の問題で多くの企業がCMを差し替えるというのは過去にも例がない。

CM差し替えの際に民放で流れるのが公益社団法人である「ACジャパン」のCMだ。今回も2024年度のCMが多数流れている。

ACジャパンのCM「ゆうちゃみの3日ぶん」は防災がテーマ(企画制作:東北博報堂)。

今年度は22作品が制作されており、全国キャンペーンCM「決めつけ刑事(デカ)」「ゆうちゃみの3日ぶん」のほか、特定団体の支援キャンペーンCMである「アイフレイルの歌」(日本眼科医会)、なかやまきんに君が筋肉を見せる「なかやま、検脈!」(日本心臓財団)、近藤真彦が出演する「往年のアイドル」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)など、この数日で繰り返し目にした人も多いだろう。

その中で広く注目されているのが「ACジャパン」とは一体何?という疑問だ。

提唱者はサントリー佐治敬三氏、関西から歴史は始まった

ACジャパンの活動は、1971年からスタートした。提唱者は、当時のサントリーの社長である佐治敬三氏だ。

佐治氏は「アメリカAC(The Advertising Council/広告協議会)」の活動を知り、日本での設立を実現したいと考えたのだという。

景気上昇の陰で現れはじめた社会のひずみである「環境汚染」「公共マナーの悪化」「人間関係の希薄化」などに光をあて、みんなで考えるきっかけをつくりたい。そんな佐治氏の思いが、多くの企業で資金を出し合い、世の中のためになるメッセージを発信しよう、という呼びかけへとつながった。

そうして設立されたのが「関西公共広告機構」。実は関西から歴史が始まっているのだ。1974年に「社団法人公共広告機構」として全国組織となり、2009年には「ACジャパン」へ名称を変更。さらに2011年からは、公益社団法人としての活動をスタートさせている。

CMテーマは消費者調査から決定「寛容ラップ」が話題に

キャンペーンテーマは毎年、3000人の消費者を対象に実施する「公共広告に関する生活者調査」の結果を参考に、ACジャパン内での協議と全国の運営委員会での審議を経て決定。

その後、全国の会員広告会社に向けてオリエンテーションが行われ、広告会社はそれを受け、キャンペーンのテレビCMや新聞などの企画案を制作する。

そこで集まった企画は、すべてのキャンペーンを合わせると800~1000案に及び、地域ごとの審査を経て、最終的に全国最終審査会によって、その年度の各部門の広告作品が選出される。

近年では呂布カルマが出演する「寛容ラップ」(2022年)が大いに話題を集めたCMのひとつにあげられる。

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