歌会始の儀 「明」お題に、陛下 新年の平安への祈り詠まれ、悠仁さま初めてご参列
新年恒例の「歌会始の儀」が14日、皇居・宮殿「松の間」で「明」をお題に行われた。天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻、両陛下の長女の敬宮(としのみや)愛子さまのお歌と、一般応募の1万4600首(選考対象)の中から入選した10人の歌などが古式ゆかしい節回しで披露された。両陛下と皇族方が並ばれ、秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまも初めて参列された。
《天空にかがやく明星眺めつつ新たなる年の平安祈る》
天皇陛下は御製(ぎょせい)で、毎年元日の夜明け前から皇居・宮中三殿で、神々に国民の加護を祈る「歳旦祭(さいたんさい)」の際のことを詠まれた。空に輝く明けの明星(金星)の美しさに感じ入るとともに、新年の平安を祈ったといい、その気持ちを歌に込められた。
《メダル掛け笑顔明るき選手らに手話で伝へる祝ひのことば》
皇后さまは、東京デフリンピック出場選手との交流をご回想。昨年11月に陛下や愛子さまとともに東京デフリンピックの水泳競技を観戦し、皇后さまは選手に手話で「おめでとう」と伝えられた。障害の有無に関わらず協力し合える社会が作られることを願い、詠まれた。
悠仁さまは夏の夕暮れに赤坂御用地(東京都港区)で俊敏に飛ぶトンボを見た思い出を詠まれている。
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天皇、皇后両陛下と皇族方のお歌、入選者らの歌は以下の通り(仮名遣い、ルビは原文のまま)
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天皇陛下
天空にかがやく明星眺めつつ新たなる年の平安祈る
皇后陛下
メダル掛け笑顔明るき選手らに手話で伝へる祝ひのことば
秋篠宮さま
夜明け前一番鶏の鳴く声にアンルーナイの一日始まる
秋篠宮妃紀子さま
雨降れば部屋で工作紙芝居「あそびのひろば」は明るい広場
敬宮(としのみや)愛子さま
日本語を学ぶラオスの子どもらの明るき声は教室に満つ
秋篠宮家次女佳子さま
ブラジルと日本で会つた子どもらの明るい未来幸せ願ふ
秋篠宮家長男悠仁さま
薄明かり黄昏とんぼは橋のうへ青くつきりと俊敏に飛ぶ
常陸宮妃華子さま
夕暮れて富士登山する人多く列なす明りうごきゆく見ゆ
寬仁親王妃信子さま
江戸川に打ち上げられし満開の花火明るし笑顔眩しき
三笠宮家彬子さま
祖父(おほぢ)宮(みや)の語りたまひし異国(とつくに)の砂の文明間近に迫る
高円宮妃久子さま
佐渡島ほのぼの白く明けゆきて餌場に朱鷺の舞ひ降りきたり
高円宮家長女承子さま
参道を明るく照らす望の月見返ればはるか茜さす富士
【召人】
ピーター・J・マクミランさん
御杣山(みそまやま)明るむ天(あめ)に杣人の声ひびきたり「一本(いつぽん)寝るぞ」
【選者】
三枝昂之(さいぐさたかゆき)さん
うるほひを含む大空の明るさがもう移ろひの季節と告げる
永田和宏さん
また俺を置いていくのか明晰夢と知りつつ言へばふつと笑ひぬ
今野寿美さん
東京に日出国(やまと)新聞とふありて号外も出す明治なりける
栗木京子さん
明け方のすべての音を引き連れて今し列車は鉄橋わたる
大辻隆弘さん
さざんくわの幹しらじらと立ちてをりきぞの夜ありし月の明かりに
【入選者】(年齢順)
石川県 室木正武さん(81)
大地震(なゐ)にたふれし明日檜の年輪を百までかぞふ製材前に
京都府 中川文和さん(78)
訪ふたびに明日は行くと言ひし子の席空きしまま授業終へたり
東京都 八木訓(よみ)子さん(73)
夜明け前この世の息を吸ひ初めしみどり児腕(かひな)に子は父となる
茨城県 菅野公子さん(63)
スクリーンに明朝体の文字並びチョークの音のしない教室
青森県 坂本美弦さん(57)
停電の長びく夜に寡黙なる父が星座に明るきを知る
埼玉県 穐(あき)山順子さん(55)
演劇部照明係の娘が照らす舞台のベンチをカメラに収む
新潟県 鈴木好行さん(52)
静かなり一夜で変はる北の町障子戸越しの雪明りかな
石川県 和田実希さん(37)
せがまれし地雷処理車の説明にながくなるよと前置きをせり
神奈川県 新堀笙(しょう)子さん(18)
真つ青な栞紐あり文明は川より生まれ出づるをおもふ
新潟県 本間優大(ゆうと)さん(17)
明礬(みやうばん)の再結晶の実験は君への恋を形にしてる