米行き航空機貨物に発火装置、ロシアが企てた破壊工作の疑い-関係者
- ドイツでは7月に小包が物流センターで発火-航空機事故免れる
欧州と米国の情報当局は、北米に向かう航空機の貨物に発火装置を仕掛けるような計画をロシア政府が工作しているとみている。事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。
ある関係者によると、欧米の当局はこうした事案を深刻に受け止め、ロシア政府が今後、同様の妨害工作を試みると情報機関は予想している。機密情報を理由に関係者が匿名で語った。
ポーランド検察当局はウェブサイトに掲載した声明で、同国など欧州連合(EU)加盟国や英国の領内で外国の情報機関が破壊工作に関与した疑いを捜査中だと明らかにした。ただ首謀者はロシアだとは言及していない。
8月5日に開始された捜査で、当局は破壊工作を手掛けたグループと関連のある4人を逮捕した。グループは爆発物や危険物をしのばせた小包を宅配便でEU加盟国や英国に送りつけるなどした。
こうした小包は陸上または航空輸送中に発火または爆発する仕掛けだった。ポーランド検察当局の声明は「このグループの目的はこの種の荷物の輸送経路をテストすることで、最終的には米国とカナダに発送されるはずだった」としている。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は4日、ロシアの最終的な標的は米国の可能性があると報じた。
欧州各国政府は2年半以上前にウクライナへの全面侵攻が開始されてから、ロシアが支援する妨害行為や不安定化工作の脅威が強まっていると警鐘を鳴らしてきた。一方、ロシアはこうした取り組みへの関与を繰り返し否定している。
外国からの小包に仕掛けられた発火装置による航空機墜落事故を、ドイツはかろうじて免れた。同国の安全保障当局はロシアが仕組んだ可能性が高いと結論づけた。当局によると、問題の小包は7月、ライプツィヒにあるDHLの物流センターで偶然に遅延が発生した際に地上で発火した。
ポーランドは先月、破壊工作の疑いがあるとして西部の都市ポズナンにあるロシア領事館の閉鎖を命じた。
原題:Russia Suspected of Plotting to Send US Incendiary Devices (3)
Russia Suspected of Planning to Send Incendiary Devices to US(抜粋)