【申込受付中】(オンライン開催)第137回HGPIセミナー「食・健康・環境を感染症から守る ― 獣医疫学の挑戦と展望」(2025年8月27日)

近年、人獣共通感染症の発生が相次ぎ、社会全体に大きな影響を及ぼしています。なかでも、近年問題となっている新興・再興感染症の多くは動物由来であり、動物から人、また人から動物への感染拡大が懸念されています。2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症や、2022年から2023年にかけて世界中で流行したエムポックス(Mpox)も動物由来です。2025年6月には、マダニを媒介した感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染した猫の治療にあたった獣医師が命を落とすという痛ましい事例が国内でも報告されました。また、薬剤耐性菌も医療による抗菌薬の使用だけでなく、畜産物やペットから人に感染するリスクがあります。

このような人獣共通感染症の流行は市民の日常生活や食生活にも大きな影響を与えています。例えば、2022年から2023年にかけて日本各地で発生した高病原性鳥インフルエンザでは、鶏卵や鶏肉の価格が高騰し、鶏卵が店頭から消えるなど、食の安定供給が脅かされました。

市民の安心で安全な日常生活や食生活、関連産業を守るために、疫学や社会経済学の知見を活用したエビデンスに基づく人獣共通感染症及び家畜感染症対策や、人・動物・環境の健康を一体的に守るワンヘルスアプローチの重要性がこれまで以上に高まっています。しかし、日本の獣医学分野における疫学教育や関連行政・産業の意思決定プロセスには多くの課題も残されています。

今回のHGPIセミナーでは、国際獣疫事務局(WOAH: World Organisation for Animal Health)食の安全コラボレーティングセンターでもある酪農学園大学の蒔田浩平氏をお迎えします。日本のみならず、東南アジア、南アジア、サハラ以南アフリカでの豊富なご経験をもとに、人獣共通感染症の現状や、獣医学及び獣医疫学の課題や今後の展望についてご共有いただきます。

当機構では薬剤耐性対策や予防接種・ワクチン政策等の感染症対策について議論を継続しています。本セミナーを通じて、獣医学や獣医疫学が今後の社会で果たすべき役割、医学と獣医学の連携の在るべき姿を考えながら、学際的アプローチへの期待について皆様と共に考える機会としたいと思います。

【開催概要】

  • 登壇者: 蒔田 浩平 氏(酪農学園大学獣医学群・大学院獣医学研究科 獣医疫学教授/酪農学園大学国際獣疫事務局食の安全コラボレーティングセンター長)
  • 日時:2025年8月27日(水)18:00-19:15
  • 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:500名

■登壇者プロフィール

蒔田 浩平(酪農学園大学獣医学群・大学院獣医学研究科 獣医疫学教授/酪農学園大学国際獣疫事務局食の安全コラボレーティングセンター長)

1971年福井県生まれ。1995年日本獣医畜産大学獣医学科卒業。2009年エジンバラ大学感染症センター博士課程修了。1995年埼玉県庁入庁。1998年埼玉県庁派遣国際協力事業団(JICA)青年海外協力隊ネパール王国。2008年国際農業研究評議グループ(CGIAR)国際家畜研究所(ILRI)Safe Food Fair Food projectポスドク。2010年酪農学園大学獣医疫学准教授。2014年国際獣疫事務局(WOAH)食の安全コラボレーティングセンター長。2018年酪農学園大学・大学院教授。専門は獣医疫学。日本および東南アジア、南アジア、サハラ以南アフリカの動物の感染症・非感染症、人獣共通感染症の疫学、ワンヘルス研究に従事。

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