リボソームの「詰まり」を解消する分子メカニズムを解明 YheSがtRNAを引っ張り "翻訳" を再始動【東京大学・岡山大学など】

東京大学、東京科学大学、岡山大学、科学技術振興機構(JST)による研究グループは、タンパク質 YheS がリボソームの翻訳停止(アレスト)を解除する分子メカニズムを明らかにしました。 【写真を見る】リボソームの「詰まり」を解消する分子メカニズムを解明 YheSがtRNAを引っ張り "翻訳" を再始動【東京大学・岡山大学など】 クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いた構造解析と変異体解析、分子動力学シミュレーションを組み合わせた成果で、2026年6月9日付けで科学誌 Nature Communications に掲載されました。 ■翻訳アレストとは? 遺伝子の情報をもとにタンパク質を合成する「翻訳」は、生命の基本的かつ重要な化学反応です。 翻訳を担う巨大な分子装置がリボソームで、いわばタンパク質の合成工場です。リボソームはメッセンジャーRNA(mRNA)に結合して塩基配列を読み取り、対応するトランスファーRNA(tRNA)を次々に呼び込みながらアミノ酸を数珠つなぎにしてペプチド鎖を伸ばしていきます。 ペプチド鎖の伸長はリボソームのペプチジル転移中心(PTC)で行われ、生成したペプチド鎖はリボソーム内のトンネルを通って外へと放出されます。ところがリボソームは、特定のアミノ酸配列のペプチド鎖を合成すると、mRNA 上で停止することがあります。この現象を「翻訳アレスト」といいます。 代表的な例が、SecM というタンパク質を合成中に起こるアレストです。SecM のペプチド鎖はリボソームのトンネルの壁と強く相互作用し、いわばトンネルを詰まらせることでリボソームを停止させます。 この停止は、同じ mRNA の下流にある遺伝子の発現量を調節するための巧みな仕組みとして機能しています。これまでの研究から、タンパク質 YheS がこの詰まりを解消することは知られていましたが、その具体的なメカニズムは不明のままでした。 ■複合体の立体構造を決定 研究グループは今回、大腸菌の無細胞翻訳系とクライオ電子顕微鏡解析を組み合わせ、SecM を合成中に停止したリボソームと YheS の複合体の立体構造を決定することに成功しました。

RSK山陽放送
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