スペースXが「スターシップ」第9回飛行試験を実施 宇宙船は軌道到達も姿勢制御喪失

初めて再使用された1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と、2段目のStarship宇宙船はどちらも予定されていた上昇燃焼を終了。Starship宇宙船は2024年11月の第6回飛行試験以来となる軌道到達に成功したものの、姿勢制御を喪失し、予定よりも早めに大気圏へ再突入して飛行を終えました。 Starship宇宙船は2025年1月の第7回飛行試験から新世代の改良版が用いられていますが、第7回および2025年3月の第8回飛行試験では上昇燃焼中に異常が発生し、軌道に到達することなく機体は失われていました。改良版として3回目の飛行となる今回は上昇燃焼を終えることはできましたが、軌道上での試験を計画通り行うことができないまま、姿勢制御を失った状態で大気圏に再突入することとなりました。 Starship第9回飛行試験の詳細については、SpaceXから新しい情報が発表され次第お伝えします。【最終更新:2025年5月28日9時50分】

Starshipは1段目のSuper Heavyブースターと2段目のStarship宇宙船からなる全長123mの再使用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。推進剤に液体メタンと液体酸素を使用する「Raptor(ラプター)」エンジンをStarship宇宙船は6基(大気圏内用3基・真空用3基)、Super Heavyは33基搭載しています。 SpaceXによると、両段を再使用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げ可能。2段目のStarship宇宙船は単体でも準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能で、地球上の2地点間を1時間以内に結べるとされています。 SpaceXはアメリカ・テキサス州の同社施設「Starbase(スターベース)」を拠点にStarshipの開発を進めています。Super Heavyブースターも含めたStarship打ち上げシステム全体の飛行試験は、2023年4月からこれまでに合計8回実施されました。 2025年3月に実施された直近の第8回飛行試験では、Super Heavyブースターの3回目の発射台帰還に成功。一方、2025年1月の第7回飛行試験から採用されている新世代のStarship宇宙船は複数のエンジンで異常が発生して制御を失い、最終的に機体は分解して失われました。SpaceXによると、異常の根本的な原因の可能性が最も高いのは1基のエンジンで発生したハードウェアの故障で、結果として意図的でない推進剤の混合と点火が発生したとみられています。 参考文献・出典 SpaceX - Starship's Ninth Flight Test SpaceX (X)

sorae編集部

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