“物理学者”が本気で料理してみた──合理的なレシピや調理法6つをピックアップ(ITmedia NEWS)

 ノーベル物理学賞受賞者ジョルジョ・パリージ氏が提案した「Hofflon法」は、沸騰した水にパスタを入れた直後に蓋をし、火を止め15分放置する調理法だ。従来のゆで方と比べて約60%の省エネを実現する。  別の方法では、冷水に1時間半浸してから短時間加熱する方法もある。こちらは40~50%の省エネが可能だ。しかし、これらの省エネ調理法はパスタの粘着性を増加させ、アルデンテの食感を損なう。このようにエネルギー節約と食感はトレードオフの関係にあるが、従来法でも水の量を減らして時々かき混ぜることで相応の省エネができる。 (参照論文:How to cook pasta? Physicists view on suggestions for energy saving methods)

 イタリアの物理学者たちが開発したのは「周期的調理法」というゆで卵の作り方。卵の白身と黄身が異なる最適温度を必要とする問題に対し、100℃の熱水と30℃の冷水に2分ずつ交互に浸す作業を8回繰り返す。  コンピュータシミュレーションにより、この方法で白身は適度に固まりながら、黄身は理想的な67℃前後で一定に保たれることが判明している。栄養成分の分析でも、ポリフェノール類やアミノ酸などの機能性成分をより多く保持できることを確認した。 (関連記事:理想的な“ゆで卵”の作り方、イタリアの研究者らが発見 32分間湯がく斬新な方法)

 スペインとドイツの研究チームは、イタリアの伝統料理「カーチョ・エ・ペペ」の完璧なソースを作る秘訣を解明した。チーズと水、デンプンの配合比を変えながら温度変化による安定性を調査した結果、チーズ質量に対してデンプン濃度2~3%が最適であることが分かった。  さらに、チーズをブレンダーで細かく刻み、事前にゲル化させたデンプン水と混ぜることで、80~90℃の再加熱にも耐える安定したソースが実現できる。こちらは2025年イグノーベル物理学賞を受賞している。 (関連記事:物理学者が“おいしいパスタ”を作る秘訣の論文発表 チーズとコショウのパスタ「カーチョ・エ・ペペ」)

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