日本の外貨準備は過大、運用益を教育費無償化の財源に-維新・前原氏
日本維新の会の前原誠司共同代表は、同党が掲げる教育無償化の財源について、過大な外貨準備の半分を運用することで恒常的に捻出できるとの考えを示した。
28日のブルームバーグとのインタビューで述べた。前原氏は日本の外貨準備は先進国と比較しても「あまりにも過大」と指摘。為替介入の余地があることを示す必要があれば、短期債券の発行で外貨準備を積み増した上で投資に回すことも選択肢だと述べた。
財務省によると2023年度の外国為替資金特別会計の資産合計は約190兆円だった。前原氏は同特会の半分を5-6%で運用することで4兆円から5兆円の財源を確保することが可能だと主張する。維新は4月から高校授業料、来年4月から給食費など総額で年間5兆5000億円の教育無償化の実現を求めている。
少数与党となった自民・公明両党は来年度予算案成立に協力を得るため、一部野党と政策協議を進めている。維新とは2月中旬までの合意を目指しているが、教育無償化の財源を確保できるかが焦点だ。外為特会に関しては、昨年9月の自民党総裁選で茂木敏充前幹事長が防衛力強化などの財源への活用を訴えていた。
維新はこのほか、社会保険料の支払い義務が発生する「年収106万・130万の壁」による影響軽減策や、処方がなくても購入できるOTC医薬品の保険適用除外も与党に求めている。予算案の賛否について前原氏は、これら「全てが実現されたときに総合的に判断する」と述べた。
日銀追加利上げは「妥当」
日本銀行による追加利上げについては「妥当」と評価した。異次元の金融緩和が長く続いたことによる「マイナスは非常に大きい」と主張し、円安が定着して実質賃金の上昇を阻んでいると述べた。
将来起こり得る景気後退に備えて政策金利の引き下げ余地を作るためにも、経済情勢を見極めながらの利上げに賛成する考えを示した。今後の金融政策については、中小企業の利払い費負担の増加にも配慮しつつ、まずは政策金利1%を目指して引き上げるべきだと語り、それ以上の水準だと「まだまだ体力がついていかない」と述べた。
旧民主党政権時代に外相も務めた前原氏は、超党派議連の一員として昨年8月、就任前の石破茂首相や中谷元・防衛相らと台湾を訪問するなど石破政権の主要メンバーとは与野党の枠を超えて接点を持ってきた。
石破首相が安倍晋三元首相のようなトランプ米大統領との関係を築くことは「無理でしょう」と指摘。抑止力の源泉としての在日米軍と駐留経費を日本側が負担する「思いやり予算」の意義など日米同盟の重要性を説明し、信頼を得る努力が必要だと述べた。
前原氏は1993年の衆院選で旧京都1区から出馬し初当選し、当選11回。旧民主党政権では国土交通相や外相などの要職を歴任した。経済財政担当相としては9年半ぶりに日本銀行の金融政策決定会合に出席した。2023年に国民民主党を離党し「教育無償化を実現する会」を結党。昨年の衆院選前に維新と合流し、12月から共同代表を務める。
他の発言
- 偏りのない人事を望む-日銀審議委員
- ライドシェアを含む規制緩和と内部留保の活用を経済政策の柱として提言したい
- 内部留保への課税には同意しない
- 設備投資減税や賃上げ税制の強化、法人税を引き上げて増税分を活用した支援などを検討