「ケイ素生命体」は存在する?私たち炭素生命に代替するシリコン生命体のカギは、太陽系外の惑星に?(スペースチャンネル)
生命の基本構成要素として知られる炭素。しかし、宇宙には「ケイ素生物」と呼ばれる生命体が存在する可能性が議論されています。漫画「BLAME!」をはじめとする多くのSF作品でも取り上げられてきたケイ素生物ですが、炭素と同じく4価の結合を形成できることから、理論上、ケイ素(シリコン)は生命を支える基本骨格になり得ると考えられてきました。しかしこれまでの研究では、ケイ素を基盤とした生命の存在には多くの課題が指摘されているのです。
■ケイ素生物とは?
精製シリコン 出典:Enricorosケイ素生物とは、炭素ではなくケイ素を基盤とする生命体のことを指します。炭素は、他の元素と柔軟に結びつき、長い分子鎖(有機化合物)を形成できるため、地球上のすべての生命の基本構成要素となっています。一方、ケイ素も同様に4価の結合を持つため、理論的には生命の基盤となる可能性があります。
そして、ケイ素化合物は高温でも安定しやすいため、極端に熱い惑星や衛星で生存できる可能性があります。私たちは二酸化炭素を排出していますが、ケイ素生命体の場合は二酸化ケイ素を排出(SiO₂:石英)すると考えられています。しかし、二酸化ケイ素は水に溶けにくいため生体内での代謝に適しておらず、これまで地球上で自然発生したケイ素生命の証拠は見つかっていません。
■宇宙におけるケイ素生命の可能性
ケイ素生命体のイメージ 出典:スペースチャンネル太陽系外の惑星の中には、炭素生命が生存できないほど過酷な環境を持つものが多く存在しています。その中には、高温の岩石惑星や金属を豊富に含む惑星があり、こうした環境では炭素よりもケイ素のほうが安定して機能する可能性はゼロではありません。
NASAの系外惑星探査ミッションでは、生命が存在し得る環境を持つ惑星を特定するための研究が進められています。例えば、超高温の「ホット・ジュピター」と呼ばれる惑星では、大気の層に二酸化ケイ素の結晶が含まれている証拠も見つかっており、理論的にはケイ素生命の発生条件が整うかもしれません。
さらに、アメリカ カリフォルニア工科大学の研究チームは、遺伝子工学を用いて細菌にケイ素を利用する能力を持たせることに成功。これは、「地球の生命でも、適切な条件下ではケイ素を利用できる可能性がある」ことを示唆する画期的な発見でした。
今後、宇宙探査の進展によって、ケイ素生物の痕跡が発見される日が来るかもしれません。もしそれが確認されれば、生命の定義そのものを覆す大発見となるでしょう。あなたはケイ素生命とも仲良く暮らしていける自信はありますか?ぜひコメントお待ちしています。
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