NY市場サマリー(10日)米株上昇、円下落・豪ドル上昇、利回り上昇
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、米連邦政府機関再開が近づいているとの見方からリスクセンチメントが改善し、豪ドルなどリスクに敏感な通貨が上昇した。一方、安全資産とされる円は対ドルで下落した。
米下院のジョンソン議長(共和党)は10日、上院で9日に連邦政府機関の再開に向けた法案が前進したことを受け、政府再開への道が開かれたとの認識を示した。
インベストメントライブのチーフ通貨アナリスト、アダム・バトン氏は、政府閉鎖中に目標を達成できなかったことで民主党がダメージを受けるという認識もリスク選好を高めている可能性があると述べた。
コーペイのチーフストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、「米国のファンダメンタルズを巡る不確実性が依然として渦巻く中、大半の市場参加者は大きなポジションを取ることを避けている」と述べた。11日は「退役軍人の日」で祝日のため、米国債券市場は休場、外国為替市場でも取引量が減少すると予想される。
ドル/円は0.38%高の153.98円。豪ドル/米ドルは0.72%高の0.6538米ドルとなった。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。過去最長を更新している米連邦政府機関閉鎖の解除に向けて米議会が前進しているとの報道を受けた。
ただ、この日実施された好調な3年債入札を受け、短期ゾーン国債を中心に一時買いが入り、利回りの上昇幅は縮小した。
米下院のジョンソン議長(共和党)は10日、上院で9日に連邦政府機関の再開に向けた法案が前進したことを受け、政府再開への道が開かれたとの認識を示した。
ブリンマー・トラスト(ペンシルベニア州)の債券担当ディレクター、ジム・バーンズ氏は、政府閉鎖が間もなく終了する可能性に市場が反応していることから、債券利回りが上昇していると指摘。「いずれこの状況は収束し、経済指標の発表とともに投資家は労働市場とインフレ率の両方に注目するだろう」とし、それが年内および2026年にかけての利回りの動きを左右するとの見方を示した。
午後の取引で、10年債利回りは1.7ベーシスポイント(bp)上昇の4.110%となった。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場は連邦政府機関閉鎖の終結に向けた議会での進展を受け、上昇して取引を終えた。エヌビディアやパランティアなど人工知能(AI)関連株が上げを主導した。
連邦政府資金を回復させる妥協案が9日夜に上院の最初のハードルをクリアし、過去最長となっている政府閉鎖が今週中に終わる可能性がある。ただ、議会がいつ最終承認するかは不明だ。
ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は「政府閉鎖は人々の予想よりもずっと長く続いた。航空便が欠航になり、経済に広範囲な影響を与える可能性などの懸念があった」と指摘した。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連続利下げ観測の再燃を背景にまとまった買いが入り、大幅続伸した。
米上院は9日夜、難航していたつなぎ予算案の修正案に関する討論終結動議を可決。こ れにより、10月1日から続く米政府機関の一部閉鎖は今週中にも解除される見込みとなった。ただ、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長は7日、政府閉鎖の長期化により、経済への影響は当初の想定に比べてはるかに深刻になっているとの見解を表明。不確実性の高まりを受け、先週発表された民間統計では、10月の人員削減数が同月としては22年ぶりの多さを記録したほか、11月の消費者景況感は約3年半ぶりの低水準に落ち込んだことが示された。
これを踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)が景気支援に向け、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げに踏み切るとの観測が再燃。これが利回りを生まない資産である金の追い風となり、この日の相場はほぼ一本調子で上昇した。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米政府再開期待を背景にリスク回避姿勢が後退する中、続伸した。
米上院は9日夜、つなぎ予算案の修正案に関する討論終結動議を可決。修正案の上院通過は確実となった。下院での可決を経て、トランプ大統領の署名により成立する。政府機関の一部閉鎖は今週中にも解除されるとみられている。政府再開への期待が高まる中、投資家のリスク選好意欲が回復し、相場は買いが先行した。
対ロ制裁に伴うエネルギー供給混乱への根強い警戒感も引き続き相場を下支えた。ロイターは、関係筋の話として、ロシア石油大手ルクオイルがイラクの油田で不可抗力宣言を行ったと報じた。米政権は10月、ロシア石油最大手ロスネフチとルクオイルを制裁対象に指定。ルクオイルの海外事業は混迷を深めており、スイスのコモディティー(商品) 商社ガンバー・グループは前週、ルクオイルの海外資産買収提案の撤回を表明していた。 ただ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による12月の増産決定や、米エネルギー情報局(EIA)が前週発表した週報で米原油在庫の積み増し幅が市場予想を大きく上回ったことなどを背景としたエネル ギー供給過剰懸念が根強く、午前の相場は一時マイナス圏に転落していた。
NYMEXエネルギー:
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