ウクライナ軍のクリミア「切り離し」作戦が奏功、ロシア支配下で燃料販売停止も(ニューズウィーク日本版)

新たな衛星画像により、ウクライナ南部のクリミア半島とロシアを結ぶ「クリミア大橋(ケルチ橋)」周辺に設けられたロシアの防御設備の様子が明らかになった。ウクライナは、ロシア併合下のクリミアをロシアから切り離すべく圧力を強めている。 【マップ】クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋(ケルチ橋) グーグル・アースの画像やEUのコペルニクス計画の衛星画像によると、ロシアは橋の周囲に浮体式障害物を設置している模様だ。 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員シダールト・カウシャルによると、この防御施設は、爆発物を搭載して攻撃してくるウクライナの無人艇の速度を落とし、ロシア軍が迎撃しやすくするためのものだ。 ここ数週間、ウクライナはクリミアへの攻撃を強化している。中距離ドローンを用いて、ウクライナ南部でのロシア軍の作戦を支える補給拠点や、ロシアの戦争遂行能力と経済を支える燃料施設を攻撃し、クリミア半島をロシアから切り離すことを目指しているという。 ウクライナはまた、モスクワのクレムリン近郊の製油所を含め、ロシア各地の石油関連施設への攻撃も継続している。 ロシアは2014年、クリミアを一方的に併合した。現在、この地域にはロシア軍の主要基地が複数置かれており、ウクライナによる攻撃が続く中でも、ロシア人観光客にとって主要な保養地であり続けている。

ウクライナは、クリミアを含めロシアが不法に占拠している領土すべての奪還を誓っている。一方、ロシアは現在支配している領土を放棄しようとせず、領土問題は、現在停滞しているキエフとモスクワの和平交渉において最大の争点となっている。 ロシア南西部のクラスノダール地方とクリミア半島を結ぶクリミア大橋は、クリミア併合後にウラジーミル・プーチン大統領が建設を主導。2018年の開通式には自らトラックを運転して橋を横断した。 ウクライナにとっては侵略の象徴で、格好の攻撃目標となった。 この橋はこれまでに何度も通行止めと再開を繰り返している。2022年10月には爆発物を積んだトラックが爆発し、火災が発生。橋の一部が崩落して海中に落下した。ロシア当局によると、少なくとも3人が死亡した。 ウクライナはこれまでにも無人艇による攻撃を繰り返しており、ロシアはこれを受けて橋周辺に新たな防御設備を配備した。 カウシャルによると、ロシアは何年も前から橋の周囲に防護ネットやはしけ、浮体障害物を設置してきた。 ロシアが支援するクリミア当局は週末、ガソリンスタンドで一般市民への販売を停止し、政府機関向けの供給に限定すると発表した。また、屋外イベントはすべて禁止され、街灯も消灯された。クリミア当局は公共交通機関の運行本数も削減したとしている。 ウクライナのドローン攻勢がクリミアを支配するロシア側に圧力を与えていることを示す新たな証拠だ。

ウクライナのミハイロ・フェドロフ国防相は先週、ウクライナはクリミアを「島に変えようとしている」と述べた。その後6月21日、クリミア大橋周辺の複数の目標を攻撃したと発表。石油関連施設2カ所と、ロシアの高度防空システムが使用するレーダー4基が含まれていたという。 さらにウクライナ軍は22日、週末の攻撃によりクラスノダール地方のカフカス石油港の一部と、橋周辺で運用されていた自動車フェリー2隻が損傷したと発表した。これらのフェリーは、ロシアが占領するウクライナ地域の部隊への補給に使用されていたという。 エリー・クック (安全保障・防衛担当)

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