脳チップでサルに実在しない物「見せる」実験成功-ニューラリンク

Ike Swetlitz

  • ニューラリンクが「ブラインドサイト」の実験結果を公表したのは初

イーロン・マスク氏率いる脳インプラント開発会社の米ニューラリンクは、視覚に関する脳領域を刺激することで、物理的には存在しない物をサルに「見せる」ことに成功した。

    これは視覚障害者の視力回復を目指す取り組みの一環であり、同社エンジニアのジョセフ・オドハティー氏が13日の業界会議で明らかにした。

   この装置は「ブラインドサイト」と名付けられ、サルの視覚関連脳領域を刺激することで、研究者が脳に見せようとしたものに対し、少なくとも3分の2の確率で目を向けるという結果が得られたという。

     ニューラリンクがブラインドサイトに関する実験結果を公表したのは、今回が初めて。ブラインドサイトは目の機能を模倣する脳チップで、難治性疾患の治療法としてテクノロジーの限界に挑む科学分野において、特に注目を集めている。

  ただし、全ての動物実験と同様、今回の成果が人間にどのように応用できるかは依然として不明だ。この装置は米国ではまだ人間への使用が認可されていない。

  マスク氏によれば、ブラインドサイトの短期的な目標は人間の視力回復で、長期的には赤外線のような超人的な視覚の実現にあるという。同社はここ数年にわたりサルを対象に実験を続けており、2025年中には人間への試験も計画していると、マスク氏は3月に語っていた。

  オドハティー氏は会議の場で、詳しい取材には応じなかった。

  ニューラリンクはまた、身体がまひした人々がコンピューターと直接やりとりできるようにする装置の埋め込みも行っている。マスク氏によると、24年に3人、25年に2人の計5人がこれまでにインプラントの施術を受けた。

  オドハティー氏は、一部の患者は週60時間ほどこの装置を使用していると会議でのプレゼンテーションで明らかにした。

  将来的には、同様の技術を用いた脳デバイスにより、まひ状態になった人が再び動いたり歩いたりできるようになる可能性もあると、マスク氏は述べている。

原題:Neuralink Device Helps Monkey See Something That’s Not There (1) (抜粋)

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