ハッブル宇宙望遠鏡があと数年で終わるかもしれない
1990年の打ち上げ以来、ハッブル宇宙望遠鏡は、無数の銀河、星の誕生と死、はるか過去の宇宙の姿を私たちに届けてくれました。教科書やニュースで目にしてきた象徴的な宇宙画像の多くは、ハッブルが撮影したものです。
しかし、そのハッブルの輝かしい働きがもうすぐ終わってしまうかもしれません。早ければ、2029年に燃え尽きる可能性が出てきました。
延命を繰り返してきたけれど…
ハッブル宇宙望遠鏡は、1990年に打ち上げられ、15年で寿命を迎える予定でした。つまり、2005年には運用終了だと考えられていたんです。
しかし、定期的にスペースシャトルで修理・部品交換をする前提で設計されていたことや、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げが繰り返し遅延したこと、ハッブルの科学的価値があまりにも高すぎたことなどの理由から、使えなくなるまで使い続ける方針になりました。
ただ、永遠に使えるわけではありません。
燃料はすでに尽きているし、軌道を上げる手段もありません。それに、太陽活動の影響で高度が下がっています。
One note from the STScI town hall at #AAS247 today: the median reentry date for Hubble, based on current modeling, is 2033; a <10% chance of reentry by 2029.
— Jeff Foust (@jeff_foust) January 7, 2026
そのため、ハッブル宇宙望遠鏡は2033年に地球大気圏へ再突入する可能性があると科学者チームは考えています。
いや、約10%の確率で2029年に再突入するという、より厳しいシナリオも示されているんです。
2022年には、NASAとSpaceXがハッブルをより高い軌道へ押し上げる可能性について調査を行なうと発表しました。しかし、現時点では実際に軌道を引き上げる計画は示されていません。つまり、ハッブルはこのまま静かに終わりを迎える可能性が高まっているというわけ。
高度が約400kmまで下がると、再突入まで残り1年以下になると見られています。そうなってしまうと、もう止められません。
ハッブルの功績は語り継がれる
遅かれ早かれハッブルは役目を終えます。それはわかっていたことですが、どうしても寂しく感じてしまうのは、もたらした功績があまりにも偉大だからでしょう。
宇宙の年齢や膨張速度の測定、ダークエネルギーの発見につながるデータ、ブラックホールの存在を裏付ける観測結果。そして1995年の「ハッブル・ディープ・フィールド」では、空のごく小さな領域から約3,000個もの銀河を捉え、「宇宙を過去に向かって覗く」ことを可能にしました。
観測は何百万件にも及びます 。ハッブルは、私たちの宇宙観そのものを書き換えた存在だと言えます。
次のハッブルは民間が作るかも
ハッブルが終わったらどうなるのでしょう? 宇宙望遠鏡といえば、ジェームズ・ウェッブを考えるかもしれませんが、このふたつは役割が異なり、新旧や上位互換の関係ではありません。
ハッブルが宇宙の今と全体像を見るなら、ウェッブは宇宙の最初期と隠れた部分を掘り下げる望遠鏡だと解釈できます。だから、ハッブルが終わったら、ハッブルに代わるものが必要になります。
そして、それは民間が作るかもしれません。
今週、元Google(グーグル)CEOの エリック・シュミット 氏が、新たな宇宙望遠鏡と地上観測施設に資金提供することを発表しました。その宇宙望遠鏡は「Lazuli(ラズリ)」と呼ばれ、ハッブルの現代版となる可能性があると報じられています。
この計画は、シュミット夫妻が設立したSchmidt Sciencesによるもの。Lazuliは直径約2.4mの鏡を備え、ハッブルよりも遠い楕円軌道を周回する設計になるとされています。実現すれば、史上初の民間資金による宇宙望遠鏡となります。
打ち上げは、早ければ2028年後半が目標とされています。順調に進めば、ハッブルの終焉と入れ替わるように、新たな「宇宙を見る目」が誕生するかもしれません。
ハッブルが終わっても観察は止まらない
ハッブルがいずれ燃え尽きることは避けられません。しかし、私たちが宇宙を見たいと願う気持ちは尽きません。
それに、宇宙観測は、国家主導から民間主導へと移りつつあり、かつてないほど盛り上がっています。
その転換点において、ハッブルは「終わり」ではなく、次の時代への橋渡しとして記憶される存在になるのかもしれません。
残された時間が短いとなると、ハッブルが届けてくれる画像がこれまで以上に貴重に感じられますね。