上田綺世が90+4分劇的同点ヘッド!! 森保Jはパラグアイにドロー、6年7か月ぶり連敗なんとか回避
日本代表は10日、キリンチャレンジカップでパラグアイ代表と対戦し、2-2で引き分けた。前半21分にFWミゲル・アルミロンのスーパーゴールで先制されたが、同26分にFW小川航基のA代表通算10ゴール目で同点。後半19分に再び失点するも、後半アディショナルタイム4分にFW上田綺世が劇的な同点ゴールを決めた。日本は2019年3月以来6年7か月ぶりとなる国際Aマッチでの連敗が目前に迫っていたが、エースの一発でその屈辱をなんとか免れた。
南米予選を6位で突破したパラグアイとの国際親善試合。日本はこれまで通りに3-4-2-1の布陣を採用した。GKは鈴木彩艶が構え、3バックは左からDF鈴木淳之介、DF渡辺剛、DF瀬古歩夢。ダブルボランチはMF田中碧とMF佐野海舟が組み、ウイングバックは左にMF中村敬斗、右にMF伊東純也が入った。シャドーは左に初のゲームキャプテン担当のMF南野拓実、右にMF堂安律。1トップは小川が務めた。[スタメン&布陣]
前半5分、伊東のクロスに小川がヘディングで合わせ、最初のシュートチャンスを作った日本だったが、その後はパラグアイに主導権を握られる。同13分には瀬古のファウルで与えたFKを初招集FWディエゴ・ゴンサレスにゴール前に送り込まれると、DFフニオール・アロンソがフリックしたボールをDFグスタボ・ゴメスに合わせられ、ギリギリで枠を外れた。その後も前線からのプレッシングが機能せず、押し込まれる日本。中盤で佐野が鬼気迫る奮闘を見せ、何度もボールを奪い取るが、悪い流れは変わらない。前半20分にはFWアントニオ・サナブリアにボールを収められると、MFディエゴ・ゴメスのパスがフリーのFWミゲル・アルミロンに渡って大ピンチ。GK鈴木彩がうまく詰めたことで慌てさせ、クロスは中に合わなかったが、失点もののシーンだった。
すると前半21分、ついにゴールをこじ開けられた。MFダミアン・ボバディージャのロングフィードをゴール前に送り込まれると、左ウイングのアルミロンがうまく抜け出して左足爪先でトラップ。そのまま左足ボレーシュートを打たれると、鈴木彩の股下を抜いたボールがゴールに突き刺さった。日本はラインを上げた隙を突かれ、瀬古もアルミロンについていけず、悔やまれる失点となった。それでも前半26分、ストライカーの一発が流れを変えた。中盤で攻守の切り替えが続いたところで佐野がこぼれ球を拾い、ダイレクトで縦につけると、小川が振り向きざまに右足一閃。強烈なミドルシュートがGKロベルト・フェルナンデスに襲いかかると、強く弾いたボールが高く浮き上がってゴールマウスに転がり込み、日本が1-1とした。小川はこれがA代表通算11試合目で10ゴール。故・釜本邦茂氏が1966年に打ち立てた12試合10ゴールを更新する史上最速の2桁得点となった。
その後は日本が敵陣でプレーする時間が増え、前半29分、伊東のスルーパスに田中が右ポケットで反応し、クロスを送ると、中村がマイナスに折り返し、南野がシュート。これはGKに阻まれたが、同35分にも堂安のクロスから中村がシュートを放ち、右サイドから左サイドへの攻撃が立て続けに完結した。すると同40分には左サイドの中村のクロスから小川がヘディングシュート。オフサイドになったが、サイド攻撃が活性化したまま前半を終えた。 後半開始直後、日本はセットプレーから立て続けにチャンスを作った。まずは同4分、伊東の右CKに小川がフリーで合わせたが、ヘディングシュートはGKの横っ飛びに阻まれる。その直後には伊東が今度は右CKを短く出し、堂安のインスイングクロスに南野が反応。胸トラップから押し込んだが、オフサイドに終わった。 後半13分、右サイドの伊東が中に仕掛け、南野とのワンツーから狙ったが、シュートはGKの正面。同15分には中央突破からサナブリアに左足シュートを打たれたが、佐野がなんとかボールに触り、枠外に追いやった。同16分、相手CKのカウンターから伊東が独走を試みたが、D・ゴメスに並走され、チャンスにつなげることはできなかった。 すると後半19分、日本はパラグアイの中央のパスワークからバイタルエリアに侵入されると、セカンドボールに寄せ切れず、DFフアン・カセレスにフリーでクロスを上げられる。これをD・ゴメスにヘディングで合わせられ、クロスバーを直撃したボールが下に跳ね返ってゴールマウスに吸い込まれ、再び1点ビハインドとなった。森保一監督は後半21分、南野と中村に代わってMF鎌田大地とMF斉藤光毅を投入。初招集の斉藤は左ウイングバックでA代表デビューとなった。南野が巻いていたキャプテンマークは伊東に渡った。同27分には速攻から鎌田が右ハーフスペースで攻撃を加速させ、伊東がクロスを送ったが、相手に落ち着いて処理された。
日本は後半34分、堂安と田中に代わってFW町野修斗とMF相馬勇紀を投入。町野は右シャドー、相馬が左シャドーに入り、鎌田がボランチに回った。そして同44分、小川と佐野に代わってFW上田綺世とMF藤田譲瑠チマを投入。このタイミングで相馬が左ウイングバックに移り、斉藤が左シャドーに回った。
そうして迎えた後半アディショナルタイム4分、なんとか日本がこじ開けた。左からのFKを相馬がゴール前に入れ、相手のこぼれ球を誘うと、二次攻撃から伊東がクロス。これにファーサイドから飛び込んだ上田がダイビングヘッドで押し込んだ。上田は昨年9月以来1年ぶりの得点。通算15点目はチームを黒星目前で救う劇的な同点弾となった。 試合はそのままタイムアップ。日本は19年2月のアジア杯決勝カタール戦(●1-3)、19年3月のキリンチャレンジ杯コロンビア戦(●1-2)以来に迫っていた連敗をかろうじて回避した。 日本代表は14日、味の素スタジアムでブラジル代表と対戦する。 (取材・文 竹内達也)●2026ワールドカップ(W杯)北中米大会特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中