今永昇太、メジャー2年目の不振の原因 武器だったストレートを狂わせた“わずかな異変” 「メッキが剥がれてきている」

シカゴ・カブスと新たに1年契約を結び、メジャー3年目のシーズンを迎えた今永昇太(32歳)。 【写真】不振をもたらした“フォームのズレ”を修正する今永 1年目はリーグ3位の15勝を挙げる最高のルーキーイヤーだったが、さらなる飛躍を誓った2年目は一転、勝利数・防御率ともに前年を大きく下回る苦しいシーズンとなった。 今永自身、「1年目はある程度よかったけど、2年目はメジャーリーグからパンチを食らった」と、壁にぶつかった苦悩を率直に明かしている。 一体なにが不振の原因となったのか。テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、再起を懸ける今永の挑戦を追っている。

今永のメジャーでの活躍は、日本時代から有力視されていた。 2023年に開催されたWBCでは、決勝のアメリカ戦で先発に抜擢され、勝利投手となる活躍で世界一に貢献。翌年、満を持してアメリカの地を踏んだ。 迎えた1年目。初登板から6回2安打無失点9奪三振という華々しいメジャーデビューを飾ると、その後も活躍は続きオールスターゲームにも選出。終わってみればリーグ3位の15勝を挙げ、最高のルーキーイヤーとなった。 なぜそれだけの結果を残すことができたのか。鍵を握っていたのは、平均147キロのストレートだ。 メジャー平均の151キロを下回る球速ながら、打者のバットは次々と空を切っていく。その理由は「回転数」と「回転軸」、そして「RISE」と呼ばれる指標にあった。 今永のストレートの平均回転数は、メジャートップクラスの2442(MLBで7位)。さらに回転軸が垂直に近いため、ボールが沈みにくい。そのため、ボールの「伸び」を表すRISEが高く、メジャー平均よりもストレートが6.6センチも伸びていた。

打者の想像よりも球が沈んでいかないため、高めのボールで空振りを量産することができていたのだ。 また、成績だけでなく、ユニークなキャラクターも注目された。オフに「オールMLB」のセカンドチームに選出されると、カブスの応援歌を熱唱し、大きな話題に。名実ともにカブスの顔になっていった。 当然、2年目はさらなる飛躍が期待された。 しかし、生命線だった「伸びのあるストレート」は次々とスタンドへ運ばれ、最終的に9勝を挙げたものの、防御率は昨季の2.91から3.73へと大きく下回ってしまった。


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今永に何が起きていたのか。今年1月、高知県で行われた自主トレを取材した。 ともに練習していたのは、若手の左投手たち。昨年デビューしたばかりの中日・金丸夢斗(23歳)も今永の教えを求めて初参加していた。 ルーキーとも分け隔てなく接する今永。その練習を見ると、淡々と基礎的な練習を重ねていく。いったいどんな狙いがあるのか。 「身体の左右の歪みを取るというのが、一番オフシーズンに大事にしていること。片方ばかり多く使ってしまう特性があるスポーツなので、まず両方しっかり使って、体のバランスを整理する。例えばこうやって椅子に座っている時も、常に自分の体の軸を考えて、どこに力が入っているのか考えて整理していくということが大事」(今永) 今永が意識していたのは、身体の左右のバランスを整えること。実際にボールを使った練習を見ていても、利き腕の左だけではなく「右」でも投げていた。

こうした練習は毎年オフに実施しているが、なかでも今年は特に入念に行っているという。そこには明確な理由があった。 「怪我もあったので、身体の解析をして、どこが弱くなっているか、どこが足りていないかをしっかり分析して、トレーニングに活かしています」(今永) 昨年5月、ブルワーズとの試合。一塁のベースカバーに入ろうとした際、左太もも裏の肉離れを起こし、故障者リスト入りを余儀なくされた。ここから今永の身体のバランスは大きく崩れ、復帰後も改善できないまま、シーズンを終えてしまったのだ。

そしてこの怪我以降、今永にはもうひとつ大きな異変が起きていた。 「痛みはなかったんですけど、フォームがちょっと変わってしまった。(怪我をする前は)アームアングル(腕の角度)が少し高かったので、上からボールを叩く感覚があったんです。でも昨年は3度~4度腕が下がってしまい、ボールを少し横から投げてしまった」(今永) メジャーリーグのデータサイトを見ると、実際に今永のアームアングルは1年目に比べて4度下がっていた。その影響でボールの回転軸が傾き、ボールの伸びを表すRISEも落ちていた。


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「少しだけアームアングルを上げるイメージを持ったら、勝手にメカニズムが良くなるんじゃないかなと推測しているので、今それを取り組んでいる途中です」(今永) 2月のキャンプに入ってからも、今永は投げるたびに腕の軌道を何度も確認していた。 「斜めに回転するより縦に回転するほうが、ホップ(伸びる)成分が出てくる。去年は回転軸が少しだけズレていたので、ホップ成分が出るようなメカニズムでコンスタントに投げる必要がある。今日は割と一貫していいホップ成分だったので、投手コーチとも『継続していこう』と話しました」(今永)

さらに今永は、技術面以外にも明確な課題を見出していた。それは、昨シーズンのある試合で実感したことだという。 「8月最後ぐらいにサンフランシスコで試合をした時に、3番のアダメス選手に2本(ホームランを)打たれたんですけど、『なんでまっすぐ投げたんだろう』みたいな後悔が残ったような記憶があります」(今永) それは8月28日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦。1回にいきなり3番ウィリー・アダメスに被弾すると、6回、3度目の対戦では、高めのボール球にもかかわらずホームランを放たれた。 「高めのボールにもみんな反応してきますし、それを上回る必要があるなと感じました。3年目は2年間のデータが出た中で、駆け引きをどうするか、違った配球、相手の予想していないボールを投げる必要もあるのかなと感じています」(今永)

1年目とは違い、他球団に投球を分析されていた2年目。ストレートの質が落ちたこと以外に、配球が読まれていたことも不振の要因になっていたという。 明暗が分かれた2年間、ここから真価の問われる3年目のシーズンが始まる。 「良くも悪くも、もうメッキが剥がれてきていると思うので、何かを証明しなければいけないシーズンになるということは間違いない。自分のやるべき仕事をして過ごしていければ、いい結果が必ず待っている」(今永)

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